4様

※現代パラレル親子

「なあ、父さん」

休日の昼下がり、リビングのソファーでごろごろしながらロイドはテレビのリモコンをパッパッと変えながら、父を呼びかける。
一方の父であるクラトスは、久しぶりに休みが取れたのか昼ごろまで寝ていたようで、遅い朝食をテーブルで取っていた。

「どうした」
「…最近、…マフラーにメガネって流行ってるのか?」
「……は?」

と言っても、季節は残暑厳しい夏の終わり。
まだマフラーは早すぎる気がする。
何を言っているのかとロイドの方を見ると、テレビにその答えはあった。


「…いや、今に始まったことではないが」
「え?知ってるのコレ?」
「…ああ、会社の同僚が話題にしていた」

テレビの向こうで雪の降る並木道で、女性と微笑むメガネをかけ、マフラーをした韓国の男性。
それは、所謂韓流というもので、クラトスはそういえば会社の女性が一時期凄くうるさかったな、と思い出した。

「へー。面白そう」
「恋愛物だと聞く。お前にはまだ早い」
「バカにするなよ、俺だってもう高校生だぜ」
「それにすぐに飽きる」
「…それは否定できないな」

飽きっぽい性格だと自分自身理解しているロイドは苦笑いしながら、ごろんとソファーに寝転がった。
一方クラトスもそんな息子の性格を理解はしていたが、最もこの恋愛ドラマはロイドの年代にはあわないような気がする。
王道の王道を行く恋愛物。
しかもこれを好き好むのは、ちょうどロイドの年の母親くらいの年代の者たちを中心と聞く。
ロイドがもしこの恋愛物にのめりこんだら、それこそロイドの性格を疑ってしまうだろう。別に悪いことではないが…

「なあ、父さん」
「…今度は何だ」
「ヨーモニー!て言って」
「…………」
「あ、やだ?」
「ロイド、」
「え?」
「ヨーモニーではない。ヨンウォニ、だ」
「へ、へぇ…」
「意味は永遠に、という」
「あのさ、クラトス」
「……何だ」
「…実はさ、……ファン?」


…実は上司が好きで、この恋愛物を延々と語られて、余計な知識を得たとは言えないクラトスなのであった。



***
両手を胸にあてて、メガネをかけ、マフラーをしてる微笑みの貴公子風なクラトスが立木声でヨーモニーって言ってるのを見たら多分良い意味で失神する。

「やっと逢えたね、ロイド」
「……………」



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