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dream
約束
「明日か」
 座った膝の上に頬杖をついて、夕日を見つめながら呟く。
「あぁ、…なぁ、本当に仲間になってくれないのか?」
 クロロは寂しそうな、心配しているような声で聞いた。心がまた少し揺れる。もう、聞かないで欲しい。初めて本音を覗かせる。
「俺は、信じるとか、助け合うとか、無理なんだ」
 気がついたら、そうなってた。そうできたら、いいって思うけど
「クモは馴れ合いじゃない」
 クロロが咎めるような口調になった。
「でも、生かすべきはクモなんだろ?俺にとって生かすべきは、いつだって俺自身だ」
 自分に言い聞かすように、自身の手を見つめて、そっと握る。それが俺の生きる術なんだ。だから今まで生きてこれた。
「俺には、お前が望んでいるように見える。初めて会った時から…今も。俺なら与えてやれる。あいつらだってきっと
「ごめん!…ありがとう」
今気づく。俺は、これが、嫌なんだ。クロロの施しに、甘んじたくない。くだらないプライドに、より一層気まずさを覚える。クロロは溜息をつくと言った。
「そうか…。お前もそのうち、ここは出るのか?」
「あぁ、そのつもり」
「じゃあ、次会うときは、外でだな」
「うん」
 うなずいてクロロを見ると、クロロは手を伸ばしてきて、そっと俺の頬に触れた。
「忘れるなよ。約束だからな」
 夕日に照らされた、凛々しい顔、吸い込まれそうな瞳。言われなくても、忘れられそうにない。
「クロロも。…死ぬなよ」 

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あきゅろす。
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