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dream
クモ
「 ビアンカ、今日は大事な話があるから遅れずにアジトに来いと言っておいただろ」
「あれ、そうだっけ…ごめんね」
 すーっかり忘れてたよ。クロロはあきれた様子でため息をつくと、不満げに眉を寄せて言った。
「まったく。あいつらと一緒に聞いてほしかったんだけどな」
「何?」
 そう聞くと、クロロの纏う空気が変わった気がした。真剣な空気に、ついこっちも居住まいを正す。
「幻影旅団という組織を作る。活動内容は、主にお宝の強奪。旅団のシンボルはクモだ。俺が頭でお前たちは手足。俺の命令は最優先だが、生死での話は別だ。 俺もクモの一部。生かすべきは個人ではなくクモ」
 クロロは淡々と、しかし不思議な威厳をもってそう言った。ふーん。そんなこと考えてたのか。少し驚いたが、別段意外でもなく、自然な流れに感じる。
「幻影旅団ねー。いいんじゃない?俺はやんないけど」
「それは認めない」
 クロロはあらかじめ予想していたように、すぐに切り返してきた。
「だって俺、ブラックリストハンターになるんだもん」
 前から考えてたんだよねー。なんだよその、ありえないって顔は
「お前はブラックリストに載る方だろ」
「別に資格が要るわけでもないし、要するに賞金首を捕まえればいいんだろ?」
 クロロは怪訝そうに聞いた。
「何だってお前、そんなのになりたいんだ?」
「強いヤツとやるのは修行になるし、金も入るし、面倒な作業も少ないから」
 一石三鳥、俺って賢い!クロロは頭を押えた。
「実にお前らしい理由だが、それならクモだって同じだろ」
「えー、全然違うよ」
 一人でやるか、みんなでやるかがね。
「何がだ?」
 真剣なクロロの目に、耐えられなくて視線をそらす。きっとうまくは説明できない、頑なな気持ち。
「さあね」
「…まぁ、いい。すぐにここを出るわけでもないし、説得して見せるさ」 

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