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dream
try
 クロロを待っていると、首へ何かが近づくのを感じ、寸前で避ける。何だ!?かがんだ体を元に戻すと、目の前に拳が迫っていた。それも避けると今度 は蹴り。後ろに飛躍してかわす。間合いを取って相手を見る。暗い目をしたクロロがいた。静かな殺気を放っている。
「何これ?俺って嵌められたの?」
 最悪!その質問には答えず突進してきたクロロは、さらに続けざまに3発の突き。これもギリギリでかわす。
「避けてばかりでは倒せないだろ」
  クロロはあざけるような笑みとともに言った。今度はナイフが首を狙ったが、またすんでのところで避ける。いーんだよ。避けてばかりで。先ほどからの避けた 回数を数える。後3回か…。姿が掻き消え後ろから蹴り。また避ける。後2回。続けて2発のジャブも避ける。10発、OK、条件クリア。発動。一瞬の発を感 じてか、クロロが後ろに飛んで距離を取る。クロロの口元に笑みが浮かび、オーラが跳ね上がる。おそらく発、チャンス。クロロへの間を一気に詰める。クロロ は右手に集中し、一瞬動揺した。その隙に鳩尾に一発入れ、続けて蹴り上げる。
「ぐぅっ」
 クロロがうなった。クロロの体が地に付く前に上に飛び乗リ、両手を押さえ込み、馬乗りのまま地面にたたきつける。クロロは数度喘ぐも、すぐにそれなりの 呼吸 を取り戻し、肩を弾ませながら話し出す。
「はっ…能力を消す能力か…さしずめ発動条件は、10回連続相手の攻撃を避ける…か?」
 嘘だろ?今受けたばかりのことを…この状況で…こんなに正確に分析できるのか?
「そんなに驚いた顔するなよ。あんなに頑なに受けも反撃もせずに避けられたら、気にはなるよ」
 そう…かもしれないけど
「何で俺を襲った?」
「ちょっと試したかったんだ。貸しを作って仲間にするのもいいと思った。…でもこの状況は予想してなかったな」
 クロロはこの状況でも、余裕を見せてそう言った。本当か?分からない。多分こいつが本気で嘘をつく気なら、俺には見破れないだろうな。興味はあったけど…もしこいつが俺を狙ってるなら、今殺っておかな いと後悔する。クロロの両手を片手で押さえ込み、もう片方の手でナイフを取り出す。クロロは俺を黙って見つめている。突然、腕に何かが巻きついて、両手を 後ろに縛り上げられる。
「クロロ、何やってんだい」
 後ろから女の声がする。
「火遊びしたら、大火傷しちゃったみたいだ」
 クロロが愉快そうにそう返す。しまった…こいつ、仲間がいるんだった。やばい、どうする?これは…もう…
「 ビアンカ。そう青くなるなよ。さっきも言っただろ。お前を試しただけだって。マチ、放してやってくれ」
「…はいよ」
 まじで?こんなにあっさりしてていいのか?ぽかんとクロロを見つめると、クロロはにっこり笑って言った。
「ますます仲間にしたくなったよ」
「俺はお前の好感度が下がったよ」
 警戒を残しながらそう返す。まだ寒気がする。まったく…俺がどれほどあせったと…
「じゃ、あたしは行くよ」
  その声に目を向ける。ピンク色の髪に、意志の強そうな大きな目。え…ちょっと待て。めちゃめちゃかわいい。彼女はちらと俺に目を向けたが、興味なさそうに 目をそらすと歩き出した。えー。行っちゃうの?声かけたいー。でも今さっき縛り上げられたばかりでどうなの?あー最悪の出会いだ。それもこれも…。恨めし そうにクロロを見る。
「ねぇ、さっきの能力、あれぐらいの条件じゃ、10分やそこらが限度でしょ?」
 クロロはまるでクイズでもしているように、おもしろがって聞いてくる。あーもうこいつ、全部分かっちゃうのかよ。
「うるせーばか」
「はは。嫌われちゃったかな?」
 マイペースなやつ…。そんなことより
「彼女…マチちゃん?」
「あぁ、マチがどうした?」
「男いんの?」
 クロロは一瞬きょとんとすると、苦笑しながら答えた。
「さぁ?…マチはお前の手には負えないと思うぞ」
「なんでだよ」
「あいつは下手な男より男らしい」
「しかし、時折見せる女らしさ…」
 いーね。すごくタイプ!
「いや、勝手に決めるなよ…」 

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