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dream
call
「ほぼ直ったな。やっぱばけもん」
「 ビアンカのおかげ」
「はいはい」
 携帯が鳴った。パーカーのポケットから出して、画面を見る。

着信中 リア

 即効で通話ボタンを押して言う。
「ハニー。会いたくて死にそう」
「 ビアンカ。ごめんなさい。私、勝手だったわ」
「リア。久しぶりの会話にごめんだなんて言わないでよ。結構手のかからないいい子だったよ」
「あの人、元気になった?」
「うん。リアの処置がよかったから」
「あなた、やっぱりいい人ね」
 リアがよく言う台詞。笑って返す。
「ありがと。もうこっちに来れるの?」
「えぇ。半日中には着けるわ」
「ご褒美、期待しててもいいよね?」
「フフ。いいわよ。何でも買ってあげる」
「もー。違うでしょ。分かってるくせに」
「あなたの望むことなら、なんでもしてあげるわ」
 その言葉だけで、体が熱くなる。あぁ、俺ってばすっかり手なずけられてる。全然やじゃないけど。
「空港まで迎えにいくよ。何時に着くか分かったら教えて」
「ダメよ。私なんかいいから。元気になったって言っても、まだ安静にしてなきゃダメなはずよ」
 その言葉に、ヒソカを見る。ヒソカはなまった体をほぐすように、軽快な動作でストレッチをしていた。
「いますぐ放り出してもまったく問題ないくらい元気だよ」
「ダメ。ダメよ。まだあのホテルよね?」
「うん」
「じゃ、急いで行くから。いい子で待っててね」
 リアは言い出したらきかない。
「分かったよママ」
 ヒソカのまねをしてみせると、ヒソカがククッと笑った。

 リアがドアを開ける前にドアを開けると、その体に思い切り抱きつく。
「おかえり。リア。寂しかったよ」
 耳元にそっとささやいて顔を見ると、予想外に熱っぽいリアの視線に思考が停止する。そのまま吸い寄せられるように、キスをしようと顔を近づける。
「君達。僕の存在を忘れてないかい?」
 その声に、嫌々ヒソカを見て言う。
「邪魔すんな。お前は気配を消して背景と一体化してろ」
 続きをしようとしたが、リアは顔を赤くして俺から逃れると、ヒソカのほうに向かった。うぅ…。
「立ってらして、大丈夫なんですか?」
「うん。もう君と3回やれるくらい元気だよ」
「そ…うですか」
「おいヒソカ!もっと言うべきことがあるだろ!」
「ありがとう。お礼にデートしてあげてもいいよ」
「どんだけ上からなんだよお前!」
「フフ。2人ともすっかり仲良くなったみたいね」
「クク。やけちゃうかい?」
「えぇ少し。…あの、傷の様子、見せていただいてもいいかしら?」
「いいよ」
 ヒソカは上を脱いだ。もう包帯も巻いていない。リアは信じられないのか、呆然としている。
「すごい…ですね。…こんなに回復の早い人、初めてみたわ」
 その言葉を聞くと、ヒソカはさっさと上を着て言った。
「ほんとに2人には感謝してるよ。だから2人の邪魔にならないようにもう退散してあげる」
「そんな。邪魔だなんて」
「僕も予想外にのんびりしちゃったしね。ちょっと用事もあるから」
「あっ、ごめんなさい。私、待たせてしまったのね」
「そういう意味じゃないよ」
そっか。こいつとは、もう会わないのか。ちょっと残念かも。
「 ビアンカ。そんな寂しそうな顔しないで」
 心が見透かされたようで、少し動揺して言う。
「してねーよ」
「また会えるよ」
 そう言うとヒソカは俺をじっと見つめ、ニヤリと笑った。
「じゃあね」 

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