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蒼紅
3
「次は、あれ」
「了解」

約束通り今日は1日将臣に付き合ってもらっていた。場所はカラオケだったり、ボーリングだったり…現代にしかない場所が中心。実は本当のところどこか行きたいわけじゃなく、ただ将臣と一緒に過ごしたいだけ。勿論そのことは本人には言っていないけれど。

先程からはゲームセンターに来て、二人で色々なゲームをして遊んでいた。
だが、長時間で流石に少し疲れを感じていたのを分かってくれたのか、将臣は少し休むかと言ってくれた。

「喉乾いてないか?」
「うん、少し…」
「じゃあ買って来るから待ってろ」

将臣はそう言って近くにある自販機に飲み物を買いに行った。その間オレは傍にあった椅子に座って待つ。ゲームセンターという所は初めて来たから、色々と珍しくて周りを見渡してしまう。そんな中、ふと目についた。

「あ…」

確かクレーンゲームというものだ。猫のぬいぐるみが可愛い。
欲しいと思ったが、自分では取ることは出来ないし、だからといって欲しいと言うのは恥ずかしい。

「ほら。…ヒノエ?」
「えっ?」

そんなことを考えてぼーっとしていたらしい、将臣が戻ってきていたのに気付かなかった。
慌てて買ってきてくれた飲み物を受け取る。
将臣は不思議そうな顔をしていたが、オレがありがとうと言えばすぐに笑顔になった。

「これくらいは当たり前だろ?」

女の子はこういう風に優しい笑顔を向けられるとドキッとするものだと聞いた。今ならその気持ちがよく分かる。



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