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蒼紅
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「まだ皆帰ってきてないのか」

買い出しから帰ってきた将臣だが、家には望美と譲しかいない。
やはりこの世界は向こうの人間にとっては、珍しいものが多いのだろうか。最近皆よく出かけるし、帰りが遅い。

「うん。…ねぇ、将臣くんはもう用意した?」

上着を脱いでソファに座り、寛ぐ体制に入っていた将臣は望美にそんなことを聞かれて首を傾げた。何の用意なのか全く検討がつかない。
するとキッチンで夕飯の支度をしている最中だった譲が代わりに言う。

「いくら兄さんでも用意してると思いますよ」
「そうだね、明日だしね」
「お前ら何の話してるんだ?」

勝手に話を進められているが、当の本人は全く理解出来ておらず。不思議そうな顔をしていた。

「何ってプレゼントの用意だよ。明日はヒノエくんの誕生日でしょ?」
「…誕、生日…」

望美の言葉に将臣は段々と青くなっていく。
誕生日だということを今の今まで完全に忘れてしまっていたのだ。だから何も用意などしていない。

「兄さん…忘れてたのか?」
「嘘…」

二人に白い目で見られるが、そんなのも気にならないほどに焦っていた。大切な恋人の誕生日だというのにプレゼントがないなんて最低だ。



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