蒼紅 2 「将臣、卒業おめでとう」 「サンキュ…ヒノエも、おめでとう」 互いに祝いの言葉を伝え合い、笑った時だった。 ふと目についたヒノエの制服。 「あぁ?!」 「な、何?」 将臣は思わず大声で叫んでしまい、ヒノエはびくっと震える。 「ボタンが…ねぇ…」 ぼそりと力なく呟いた言葉はしっかりとヒノエの耳に届いていた。 彼は訳が分からないと言った顔をしたが、すぐに理解した。 制服のボタンのことだ。 将臣が言ったとおり、ヒノエの学ランにはボタンが全くなかった。 だが、それで何故落ち込むのか、理解出来ない。 「なんで…」 「…姫君たちが欲しいって言うからあげてきたんだよ」 「あげたって第2ボタンだぞ?!」 将臣はそう叫んで、第2ボタンについて説明するが、ヒノエにとってはどうでもよかった。 何故そこまでこだわるのかと問えば ヒノエの物だから と言われて、ドキッとする。 それを誤魔化すように視線をそらした。 「あぁもう、ボタンぐらいでうるさいな」 「…ひでぇ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |