蒼紅 1 「…ぅ、ん……?」 朝、携帯の着信音で目を覚ました。 今日は確か何も予定は入っていなかったはず。だからゆっくりと寝られると思っていたのだが。 布団の中からごそごそと手を伸ばし、未だに鳴り続けるそれを手に取る。 時間は午前5時。着信相手は将臣。 「…もし、もし」 「ははっ、すげえ寝起きの声」 「当たり前だろ。こんな早くから」 そう自分で言いつつ、少し呆れた。 元の世界にいた頃はこんな時間にはもう起きていたはずなのに、こっちに来てからは…。順応というやつは怖い。 「悪い悪い。 それで、今から出れるか?」 「別にいいけど」 ベッドから起きて、窓際へ行く。 何で今からと続けかけて驚いた。 それはカーテンを開けると外に将臣が立っていたからで。 将臣はオレを見つけると、軽く手を上げて笑った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |