05
『そういえば、トシくんは警察なんだよね?』
美咲が”銀時スペシャル3”を布巾で擦りながら聞いた。
十四郎は寝転んでテレビを見ていた。
「あ?警察だぜ・・・親父との約束だかんな」
トシくんも覚えてたんだね。
お父さんとの約束――・・
『銀ちゃん・・・』
「何だよ」
『お父さんって立派な警察官だった?』
「うーん・・・まぁ、立派だったんじゃね?」
『だよね・・・、総悟も立派な警察官になってね』
「まかせなせェ、すぐに採用されまさァ」
気がついた時には、3時半になっていた。
今日はバイトに行くと、総悟と話していたのを忘れていた。
美咲はすぐに着替えて総悟と家を出ようとした。
『トシくん・・・今日はもう帰るんだよね?』
「あぁ、明日も出勤だ」
『そっか・・・また来てね?』
十四郎と別れを済ませ、総悟と共に美咲は長谷川店長が待つコンビニへと向かった。
コンビニの中へ入ると長谷川店長が優しい笑顔で迎えてくれた。
『当分休んでしまってすいませんでした』
「いや、いいよ。その代わり、今日はしっかり働いてもらうから」
『はいっ』
「任せなせェ」
私達は働いた。少しでも生活の助けになるように。
おばさんに取られた初めての給料はまだ取られたままだけど、また働いて稼げばいい。
私達はもうあのおばさんの所に戻らなくていいんだ。
『いらっしゃいませ』
店内に入ってきたのは、すごくあやしいおじさんだった。
おじさんは弁当売り場の所へ行くと、弁当をかばんに入れ始めた。
万引きだ、と私は思った。
急いで総悟を呼んで捕まえてもらおうと思った。
総悟がそのおじさんに近づくとおじさんは猛ダッシュで逃げた。
「待ちなせェ!」
『総悟っ』
総悟はそのおじさんを追って、外へ出て行った。
美咲は急いで警察に電話した。
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