03
当分叫び続けた高校生達は、美咲たちが出てこないと知り帰って行った。
美咲の振るえは止まらず、総悟はずっと抱きしめていた。
『何であの人達いるの・・・?何で・・・?』
「美咲、落ち着きなせェ。大丈夫でさァ」
『ほん、と・・・?』
涙でいっぱいの瞳をタオルでふき取りながら美咲が静かに聞いた。
総悟は無言で一回頷くと、ベランダの窓を閉め美咲を居間へ連れていった。
当分時間が経ち、美咲はすっかり元気になっていた。
中学時代の苛めは、##name1##にとって最悪な思い出として今も心の奥深くにしっかりと残っていたのだ。
「けーったぞー」
銀時の声が玄関から聞こえると美咲はすぐに玄関へ走って行った。
銀時の姿が見えると美咲の目には再び涙が溜まり、抱きついて泣いた。
総悟に後から理由を聞き、納得した銀時は再度美咲をしっかり抱きしめていた。
「よく頑張ったな美咲・・・」
『う、ん・・・うん』
その時、電話が鳴った。
総悟が誰でさぁ、と愚痴をこぼしながら受話器を耳にあてた。
すると、見ているこちら側にも聞こえるくらい大きな声が受話器から聞こえてきた。
「”銀時、テメーさっさと金返せコルアァァ”」
「ト・・・シ兄」
「”総悟か?総悟なのか?”」
受話器から聞こえて来た声は、銀時の双子の弟。
近藤十四郎の声、そのものだった。
『トシくん・・・?』
「あ、金返すの忘れてた・・・」
「トシ兄・・・、何でさァ間抜けなその声は・・・爆笑もんですぜィ」
「”総悟テメッ・・・まぁいい。銀時ィ、今からお前ん家すっ飛んで行くかんな?”」
「へいへい・・・」
そして電話は切れた。
案の定、美咲は泣いていて総悟も潤目になっていた。
銀時は家中の金と言う金をかき集めて、懐に忍ばせていた。
それは、十四郎から金を奪われない・・・否、十四郎に金を返す気はないと言う意味だろう。
間もなく、家のチャイムが鳴った。
急いで玄関に行ったのは美咲だった。
『トシくんっ!』
玄関を十四郎が開けた瞬間、飛びついた##name1##は嬉しそうに笑っていた。
そしてまた、十四郎も笑っていた。
「美咲から離れろ、このロリコンヤロー」
「そうだ、そうだ。美咲ちゃんから離れろこのマヨロリコンヤロー」
「黙れお前ら、八つ裂きにしてやろーか?あぁ?」
『ト、シくん・・っ』
喧嘩が勃発している中、美咲は十四郎にひっついたまま。
銀時と総悟は十四郎を「ロリコン」だの「マヨネーズ侍」だのとおちょくっていた。
美咲も落ち着き「ロリコン」攻撃も終わった一行は、居間へ向かった。
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