02
「すいぞっかんアルー!アタシ初めてネ」
『水族館だよ、海の生き物たちが見れる綺麗なところだよ』
神楽に手を引かれ、館内を走り回る私たち。退と神楽は初対面で最初は初々しかったが、今ではジミーと呼ばれている退。
触れるコーナーでヒトデを掴み、トシの頭の上に乗せている総悟。それを見て笑っている退。アイスを頬張る銀時と、やりたい放題。
一通り回ったあと、水族館を出た。昼食をとるため、近くのファミレスへ入った。
『うーん、私は何でもいいや。神楽はどれにする?』
「全部アル」
「だーめ、神楽は3品までな!今日は銀さんのおごりだ」
私は総悟と同じものを頼んだ。神楽はほんの3分ほどで食べてしまい、ジュースをお腹いっぱいになるまで飲み続けていた。
そして話題は晋ちゃんのことになった。本当はあまり話したくない、せっかくの楽しい休日なのにそんな暗い話題を出して気分が下がるのだけは嫌だ。
だから私はあまり聞かなかった。結局、個人で探すことになったらしい。
『晋ちゃんは・・・、多分元気だよ。だから心配しなくて大丈夫だってば』
「そうだな、アイツは親父に似て丈夫だ。俺らにも似てな」
「俺は晋助みたいに悪くないもんね、似てるのはトシだけで十分だコノヤロー」
ケンカになりそうだったので、一先ず止めて店を出た。あまりにもお腹がすいたような神楽をみて辛くなったのでアイスをひとつだけ買ってあげた。
犬のようにペロペロとアイスを食べる神楽はとても可愛く見えた。総悟も私の隣にいたけど、少し・・・顔が赤いような。
信号待ちのとき、ブォンブォンと不良らしき人の乗ったバイクが目の前を通過していった。一番先頭を走るバイク・・・、晋ちゃん?
『晋ちゃん!』
私は無意識のうちに叫んでいた。しかしバイクの音に消されて、先頭の人には届かなかった。銀ちゃんたちはびっくりしたように私を見るけど。
確かにあれは晋ちゃんだった、私・・・ちゃんと見た。何年経っても変わらないあの目つきの悪さ。でも片目を眼帯で隠していたから、違うのかもしれない。
「あんなチンピラが晋助な訳ねーよ、美咲の見間違えだって」
『う、うん・・・』
その後はトシくんが仕事に戻って、退を家まで送り届けて・・・銀ちゃんと神楽は万事屋へと戻った。そして暇になった私と総悟はバイトへ行くことにした。
最近色々あって顔を出してなかった・・・普通ならクビなのだが、家の事情などを知っている長谷川さんは無断で休むのを了解している。
銀ちゃんに特別に買ってもらった自転車に跨った。前に総悟で後ろに私、本当は二人乗りなんてしちゃいけないのに。
『こんにちはー!暇なので手伝いに来ましたよ』
「美咲ちゃんと総悟くんか、久しぶり!おじさん最近、風邪になっちゃってさぁ」
長谷川さんは現在、風邪で店にはあまり出てきてないらしい。家はコンビニの上にあるから、すぐに来られるわけだ。
なので私たちが来てすごく助かった、と少し泣いていた。本当に大げさなんだから、長谷川さんは。私たちの事情を話したときだって泣いていた。
今は前に話した新しいバイトの人が来ているらしい。挨拶くらいしたほうがいいな、と思って総悟と共に休憩室へ行った。
『えっと、ここでバイトしている近藤美咲です。こっちは双子の、』
「近藤総悟でさァ」
「あぁ、店長から聞いてる。ククッ、双子たぁ仲がいいこった」
私がさっき見た、片目を眼帯で隠している先頭をバイクで走っていた人。名札には・・・『近藤』と記されていた。
同じ苗字・・・、似ている顔・・・、特徴のある笑いかた・・・。晋ちゃん?
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