01
春、退との再会を果たした私たち。最後に残されたのは晋ちゃんだけ・・・、早く私たちの前に現れて。
兄妹はね、どんなに離れていてもどこかできっと繋がってるの。離れることはない、私の中には小さいころの晋ちゃんがいるよ。
心の中にいる、だから・・・今の晋ちゃんに会いたい。曇天の空に願いを乗せて――・・
『ほーら、起きて!銀ちゃんも総悟も』
「ん・・・今日は日曜でさァ」
未だに寝ている銀ちゃんをよそ目に総悟は上半身だけ起こし、美咲を見上げた。一段とおしゃれしてるような。
何かあった日なのか、とカレンダーを見ると星マークが赤いペンで付けてあった。そうか・・・今日はみんなで水族館に行く予定だ。
トシ兄も珍しく休暇が取れたらしく、銀兄の提案で出かけることに。神楽も連れて行くとのことで、美咲が大喜びしていた。
『今日は私が服選んであげるよ、おしゃれしないとね!せっかくなんだし』
「へいへい、俺ァちょいと朝メシでも作ってきまさァ」
今日の天気は曇り。曇天の空が憎くなって、開けていたカーテンを閉めた。
フライパンには3つの割れた卵。総悟が作る朝ご飯はほとんどが卵料理だった、とくに理由はないが多分楽だからだと思う。
美咲の鼻歌が聞こえてくる、最近よく聞くCMの歌。やけにご機嫌が良いようだ。
「水族館?・・・そんなこと言ったような言ってないよーな」
『言ったってば!無責任、馬鹿、糖分ばかー!』
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