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04





「じゃ、僕はこれで帰るよ。仕事もあるしね、何より今日は午後からお通ちゃんがテレビに出るんだよ」


「相変わらず好きだよなー、お通ちゃん」


「あ、そうだ。トシくんに渡しておいてお年玉、風邪には気を付けてって」









新八おじちゃんはまたあの笑顔で帰って行った。
その後は暇だったから適当にテレビを点けて見ていた。神楽が見ているお笑い番組。再放送のドラマ。

どれもつまらない物だったが何もしないよりは楽しいと言えるだろう。実際見ているのは私だけで、2人ともこたつで寝ていた。









『全く、こたつで寝ると風邪引くんだよ』









毛布を掛けながら呟いた。2人とも規則正しい寝息を立てて夢の中。
そんな顔を見ているとなんだか、私も眠くなってきた。持ってきた毛布に身を包み、目をそっと閉じた。

夢の中にはお母さんもお父さんも、退も晋ちゃんも居た。みんな笑っていて、私を抱きしめてくれる。
でも私が触ろうとすると、粉のように白く雪のように儚く消えてゆく。



――待って、私を置いて行かないで!1人にしないで!
後ろを振り向くと銀ちゃんや総悟、トシくんが居るんだけど寂しい。

足りない。あと2人足りないの。晋ちゃんと退が。


早く戻ってきて、あの笑顔を見せてよ!――










『ゆ、夢か・・・』









目が覚めた時には外は真っ暗でテレビも消えていた。台所では包丁の音。トントンと一定のリズムを保っていた。
こたつを見れば銀ちゃんが毛布に包まって寝ていた。という事は総悟が料理をしているのか、と思い立ち上がった。


びっくりさせてやろうと静かに、気づかれないように後ろに回りこんだ。









『うわぁー!』


「うわっ、びっくりさせないでくだせェ。心臓飛び出るかと思いやした」


『大成功!ねぇ、何作ってるの?』










まな板にはみじん切りにされたキャベツ。
キャベツから連想される食べ物は数多くあるが、総悟の顔をキャベツを見比べるうちに分かった。









『今日はたこ焼きね』


「当たりでさァ、さすが双子の妹よ!」









パチンと手を叩き合って、たこ焼き作りを手伝う事にした。手伝うと言っても、混ぜるだけだったが。
たこは新八おじちゃんが置いて行った物だった。結構立派な物で、とてもおいしそうだった。


台所で1つづつ丁寧に転がしながら焼いている総悟を見つめた。不器用な癖に器用で、器用な癖に不器用な総悟。
双子なのに何一つ似ている所なんてない。顔も性格も、ぜんぶ。










「完成でさァ、銀兄さん起こして来てくだせェ」


『りょーかい』









総悟に言われて、未だ夢の中にいる銀ちゃんを起こしにこたつがある所へと行く。
規則正しい寝息を立てて寝ているのは銀ちゃん。パフェ・・・と寝言を呟いていたので起こしにくかったがどうにか起こした。


何時ーと聞いてくる銀時に美咲はカーテンを開け、真っ暗になった外を見せた。点けっ放しになっていたテレビを消し、電気を点ける。
出来上がったたこ焼きを机に並べ、準備は整った。









『さあ、総悟特製のたこ焼き食べようか。マヨネーズいる?』


「トシ兄じゃあるまいし、俺ァいらねーでさァ」


「俺もいらなーい、砂糖入れてみるからさ」









トシくんがいたら絶対喧嘩になってたと思うほど次から次へとトシへの暴言が出てきた。そろそろやめなよって言うまでずっと。



たこ焼きパーティーは結構夜遅くまで続いた。








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