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05






『何、このカビ!ここ掃除してる!?』







午前10時。万事屋では美咲による大掃除が行われていた。風呂場のカビや台所下のゴキブリ退治用の仕掛けの中。
至る所を探られて、焦っている銀時。


なぜ焦っているのかと言うと・・・








『銀ちゃんも男だね。こんなの隠してるなんて』


「いや美咲ちゃん。男っていうのはこういうのが無くちゃいけないのよ。分かってくれない?」


『まぁ、いいんじゃない?でも、彼女とかにはバレちゃだめだよ』









その本を元あった所に戻すと、次次ーと叫びながら走り出した。
今日も窓の外は雪が降っていて、その雪が白い華みたいだと美咲は言っていた。それから可愛いと。


女ってのは何でも可愛い可愛い言ってるけど、本当にそう思ってるのか。
神楽を見て可愛いって言ったり、俺の頭を見て可愛いと言ったり。意味が分からない。

でも、1つだけ俺からしても可愛い物がある。そう、美咲。
美咲は世界でたった1人の俺の妹で、可愛い妹でもある。だから、美咲は可愛いの分類に入る。









『顔ニヤけてるよ?大丈夫ですかー?』


「あぁ、大丈夫大丈夫。で、何?掃除終わったって?」


『うん。カビがね、取れなくて大変だったんだよ!それでね、』









神楽が部活から帰ってきて、一緒にゲームをして遊んだ。総悟は私が掃除をしている間中ずーっと寝ていた。
愛用のアイマスクまでご丁寧に着けて、ベランダで気持ちよさそうに。


蹴り飛ばしたくなる程憎かった。あのアイマスク自体どうかと思う。
変な趣味だとあざ笑う奴もいれば、変なアイマスクだと笑う奴もいる。私の場合、バカなアイマスク。

あんなの着けてたらバカにしか見えないよ。だからやめろと何回か言ったが、それを使う事を止めなかった総悟。




まぁ、そんな所が総悟らしくて私は好き。人に流されず、自分の選んだ道を進む。それが総悟だ。









『総悟起きてよ。もう外真っ暗だよ、雪も降ってるし』


「何でィ、もうそんな時間ですかィ。銀兄さんは?」


『銀ちゃんは先帰ったよ。総悟寝てるから起こさずに待ってたんだよ』








神楽は自分で夜ご飯を作っていた。
靴を履いてジャンバーを着て、寒くないようにマフラーも巻いて帰った。

思ったより雪は強くなくて、でも地面には昨日降った雪がまだ積もっている。後ろを振り返ると自分たちの足跡が付いていた。
前を見れば、私たちの足跡より少し大きめの足跡が付いていた。多分銀時のだろうと思った。




銀ちゃんが帰ったのは、総悟を起こすほんの数分前。見たいテレビがあるからって帰って行った。
目の前の足跡は、右へ行ったり左へ行ったり回ってみたり。本当に不思議な足跡だった。









『帰ったら、こたつで銀ちゃんと一緒にテレビ見ようね』


「俺ァその前に風呂入りてーでさァ」


『そうだね。多分銀ちゃんが風呂入れててくれてるからすぐ入れると思うよ』








目の前の足跡はアパートの玄関の前で消えていた。本当に銀ちゃんの足跡だったんだね。
家へ入るとこたつの中で丸くなって寝ている銀時を発見した。美咲の予想通り、風呂はもう沸いていた。


銀時を起こさないように気をつけながらテレビを消した。点けっぱなしで寝てたから。電気代の無駄なのにね。
その日は、夜遅くまで雪は降り続けていた。


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あきゅろす。
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