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02





『銀ちゃん!総悟!雪だよ、早く起きて』







早朝、美咲の声が部屋中に響いた。
カーテンを開け、スリッパを履いてのっそり起きてきたのは銀時だ。

おはよ、と呟いて新聞を取りに玄関へ行った。その後、総悟が機嫌悪そうに起きてきた。








『どうしたの、総悟。機嫌悪そうだね』


「朝起きたら、布団が下に落ちてた」






頬を丸く膨らませて言った。内心、可愛いと思ったのは内緒。
新聞を持って、部屋に入った銀時はいつもの席へ座ると新聞を読み始めた。

焼きあがったパンを口に詰め込む総悟と、苺ジャムを大量につける銀時。
いくら兄弟でも、性格はだいぶ違うようだ。







「お、総悟!新聞載ってるぞー」


「万引き犯の事ですかィ?そりゃ、すげーや」


『本当!すごいよ、総悟』







「お手柄、連続万引き魔を捕まえた!」という見出しで、新聞に大きくとは言えないが取り上げられていた。
今日は祝いだ、と言ってマーガリンもパンに付け始めた銀時。

後で、ジャムやらマーガリンやら買いに行かなくちゃと考えていた美咲。
バイトは、今日は休み。別の新しい人を雇ったから、私たちの仕事は減った。でも、以前と変わらない給料を出してくれる店長。
新しく雇った人は、えらく態度が悪いらしい。よく、店長に愚痴を聞かされていた。

いらっしゃいませ、が言えない。店の物を勝手に取る。
でも、店長はその人の見捨てたりしなかった。むしろ、楽しそうだった。







『今日買い物行くけど、総悟行く?』


「寒いから、家にいまさァ」


『何でよー?無理やりでも連れて行くからね。今日セールだし、荷物持ってもらわなきゃ』







さらに機嫌を悪くした総悟。そんな総悟を見て美咲は、笑ってしまった。
普段、怒ったりしない総悟がはぶててると思うとさらに可笑しくてたまらない。

買い物は午後からにして、午前中は雪合戦がしたいな。久しぶりに、本当の家族で。
人数は減ったけど、家族は家族。







『ねぇ、午前中雪合戦しようよ!トシくんと神楽も呼んでさ』


「寒いし、銀さん雪苦手なんだよねー」


「いいですねィ、やりやしょう!マヨコンヤローも呼んで、チャイナはいらねェけど」







という事で、雪合戦をする事になった。十四郎には電話をして、呼んだ。丁度仕事が休みになったらしい。
神楽にも電話をして、来てもらう事になった。
これで、近藤家4人が揃う事になる。残るは2人だけど。

アパートの前は広い駐車場。だけど、このアパートに住んでいるのはほとんどが貧乏で車なんて持っていない。
なので、駐車場には車も無いし足跡1つも無かった。







『うわー!真っ白だね、銀ちゃん』


「これにシロップぶちまけたら甘いだろうな」


「この辺に地雷セットしましたんで、近寄らないでくだせェ。もちろん引っかかるのは、」







総悟が言いかけた時、そのセットした場所で爆発が起こった。誰か引っかかったのだ。
煙を払いのけ、出てきたのは神楽だった。頭は真っ黒になり、頭は銀ちゃんのようなクルクルになっていた。

美咲が駆け寄ると、神楽は下を向いて呟いた。








「サドのヤロー・・・、ぶっ殺すアル」


『え・・・?』


「サドのヤロー!ぶっ殺すアル!」







と言って、雪球を作り総悟に当てた。顔に当たった総悟は、同じように雪球を作り神楽に当てた
それから雪合戦がスタートした。雪球を作っている間に総悟が沢山、私にばっか投げてくる。
それにやり返したり、銀ちゃんはシロップを雪にかけて食べていた。

騒いでいると、トシくんが厚着をして来た。







「おー、中々本格的じゃね?って、銀時食うなってそれ!腹壊すぞ」


「うまいんだからいいんだよ。お前何?その厚着」







ジャンバーの上にまたジャンバー。マフラーも巻いて、手袋も付けていた。
総悟は、十四郎の後ろに回り雪球を投げつけた。しかも、その雪球の中には鉄球入りだ。

それを、足に当てられた十四郎はいつもよりさらに瞳孔を開いて総悟を追い掛け回していた。








「あれが、銀ちゃんの双子のマヨコンヤローアルカ!似てないアル」


『そうだね、でも双子なんだよねー。神楽、トシくんに挨拶してきたら?』







総悟を追い掛け回し、息を切らした十四郎の元へ神楽が行った。
総悟も息を切らせ、ジャンバーを脱いで私に渡してきた。

たぶん・・・、いや絶対。私に持っとけって意味だろう。







『総悟!ジャンバーくらい自分で持ちなさいよ!私は荷物持ちじゃないのよ』


「じゃあ、買い物も行きやせんぜ?俺ァ、荷物持ちじゃないんでね」


『わ、わかったわよ!風邪ひかないでね』







その後も雪合戦は続いた。
銀時を除いては、みんな暑いと言っていた。逆に銀時は寒いと言って総悟のジャンバーを無理やり着ていた。







『そうだ!寒い日には、』








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