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02


私と総悟は目をまん丸に見開き、銀髪さん・・・否、銀ちゃんの元へ行った。

銀ちゃんは最初は何?みたいな顔をしていたが、私達の顔を順番に見て目を見開いた。








「美咲と総悟・・・か?」









私の目には涙が溢れ、総悟は銀ちゃんに駆け寄っていた。

そして、その場に泣き崩れてしまった。
銀ちゃんだ、銀ちゃんだ・・・



それは、13年前に離れ離れになった兄弟の内の一人、近藤銀時だった。








「銀兄さんっ」

『ぎ、ん・・ちゃ・・っ』

「総悟、美咲っ・・。こんな所に・・・」








銀ちゃんの目にも涙が溜まっていて、少しビックリした。

当時6歳で長男だった銀ちゃんの顔ははっきり覚えているが、今と少しも変わらない。



なのに何で気づかなかったのかな?
そして、銀ちゃんは私達を優しく包んでくれた。


そんな光景を見た長谷川店長は私達を一足先に上がらせてくれた。



その後は三人で近くの公園へ行った。






「お前達はあのおばさんだったよな?」

「そうでさァ」

「うまくいって・・・ねェみたいだな」








銀ちゃんは総悟の傷や私の痣を見て気づいた。

そして、銀ちゃんは私の頬に手を置いて「本当に良く頑張ったな」と褒めてくれた。


その言葉でまた目には涙が溜まった。







「虐待・・とかされてんのか?」

『うん・・でもね、総悟が何時も庇ってくれてね・・?』

「それでこそ男でさァ」

「カッコつけやがって・・・、怖かったろ・・」

「こわ、く・・なん、か・・っ」






総悟まで終に泣き出してしまった。

右腕には私、左腕には総悟を抱きしめていた銀ちゃんはずっと優しい言葉をかけてくれた。






「お前達は良く頑張ったぜ。俺がおばさんとこ行って、お前達を引き取ってくるから・・・」

『え?じゃあ銀ちゃんの所に住んでもいいの?』

「あぁ、大歓迎だ」






ということで、おばさんの家を訪ねた私達。

おばさんはびっくりした顔で銀ちゃんを家の中に入れた。







「お久し振りです、おばさん」

「銀時くんも大きくなったわね」

「突然ですが、総悟と美咲は引き取らせていただきます」

「いいわよ、そんなの」





あっさりと了解してくれたおばさん。


そんなに私達っていらなかったのね?
2階の借りていた部屋にあった私物を全部まとめて、銀ちゃんの元へ行った。


最後におばさんが言った言葉、それは・・・







「元気でやるのよ・・・」






・・・だった。
最後だけは優しいのね。

でも、そんなおばさんでも今は感謝の気持ちでいっぱいだ。


あんなに小さかった私達を育ててくれたんだもの。
苦しい時や悲しい時もあったけど、やっぱりおばさんは私のお母さんです。








『うわ、汚い・・・』








そして銀ちゃんの家の中に入ってみると、そこはゴミ屋敷だった。

流石、大人の男の一人暮らし。
カップ麺のゴミやらエロ本やら・・・






「しょうがねェだろ、片付かねェんだからよォ」

「男ってのはこんなもんでさァ」

『総悟まで・・・。よし、私今からここ片付けるから、ほらどっか行ってて』

「さっきまであんなに”銀ちゃん、銀ちゃん”言ってた癖にもう不要物扱いですか、コノヤロー」

『もう、ごちゃごちゃ言わずに・・・』






どうにか銀ちゃんと総悟を外に出せたのはいいけど、流石にコレは酷すぎる・・・








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