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6月のゲジゲジ
人気者5

「あんな朝からあんあん言ってたら、ボクじゃなくても誰だって興味沸いて聞くよ!!」



「だからお前は最低なんだよ、ダサ野!!みんながお前と同じだと思うなよ!?どうせ今のクラスでも浮いてんだろ!?空気読めないせいでな!!」



今度こそボクは、掴まれた胸ぐらを力一杯振り払った。



「何だよ!!そんなの橋本くんには関係ないだろ!?大体、自分の事は棚に上げて人ばっかり責めるなよ!!……勝手に人のこと決めつけてレッテル貼るのもヤメロよな!!」



「なっ、生意気なんだよ!!ダサ野のくせに!!」



「知らないよそんなこと!!それに聞かれたくなかったらなぁ、こんな所で朝から盛ってんじゃねーよ!!予習が出来ないだろう!?迷惑なんだよ、あっち行け。ブァーカ!!」



そう言うと、ボクは橋本くんに勢いよく自分の鞄を投げつけた。



ヒートアップするボクらの口論を、名張は途中から制止しなかった。



その変わり、呆気にとられたようにボクを見ていた。



こんな風に、誰かに思いの丈を荒々しく伝えたのは久しぶりだ。



緊張と興奮とが入り交じり、いつのまにか肩で息をしていた。手にはベットリと汗をかいている。




「それ、ボクの席に置いといてよ!!……あと、聞き耳立ててたのは悪かったよ。ごめん。」



散々言うだけ言って、謝る時だけ怖くて相手の顔が見られないなんて、ボクはつくづく臆病者だ。



「でもそっちだって、注意力散漫だったんだからな本当に!!これからはもっと防音のついた所とか……とにかく、場所には気を付けろよな!!フンッ」



ボクは橋本くんに人差し指を突き付けて本音をぶつけると、逃げるようにして教室を飛びだした。





「……壱くん。何笑ってんの!?」



「あっははっ。見たか今の!?やっぱ猫被ってたな、アイツ……変だと思ったんだよ。クラスで何言われても地蔵みたいに固まって耐えて……展覧会で見かけた時はそんなでもなかったのに。……ぷぷっ。ブァーカって、気持ちこもってたなあ」



「もう!!何を感心してるんだよ、壱くん!!……あぁぁぁ!!くっやしぃぃ!!ダサ野のくせに!!大体、何だよアレ!?自分は言いたいだけ言って結局逃げてるじゃんか!?予習すんじゃないのかよ!?人に鞄投げつけやがって……礼儀知らずめ」



「なあ!?面白いよな!?……まぁでも、その悔しさはじきに晴らせるよきっと。やなぎも先生からあの話聞いたんだろ!?」



「ああ、アレ!?……そっか。そうだよね。何も懲らしめるのは学校じゃなくたっていいよね!?……相手の得意分野で叩きのめした方が俺も気分いいだろうし」



「やなぎ。お前悪どいな……。でも、真野の言うことも最もだろ!?……確かに今日のお前の声は大きかったよ」



「い、壱くん!!止めろよ!!恥ずかしいな。それにあれは壱くんが……」



「じゃあ、するの止める!?」


「イヤだ!!」






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