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6月のゲジゲジ
人気者2

(誰か……いる!?)


机の脚か、はたまたイスか。教室内からは、カタカタと何かが揺れる音がした。



(日直が机でも拭いてるのかな!?)



「あぁぁぁん!!」



(な、何だろう……今の声……)



悲鳴みたいな声がした。



「あっ……んんっ……はぁん」



朝一の学校。



早く登校したにも関わらず教室に入ることも出来ないボクは、自分のクラスの前で朝から聞き耳を立てる羽目になった。



何度も息を詰める苦し気な声が、薄い窓やドアを通して漏れ伝わる。




机が激しく前後に揺れていくのが音で分かる。




「……くん、ああんっ!!好き!!大好きぃぃ!!」



(こ、これは……いわゆるセックスの真っ最中というやつでは!?)



やっと状況が把握できたボクは、あわあわと辺りを見回した。



誰もいないのがせめてもの救いだった。



大きな喘ぎは、今や廊下にまで広がっていたから。



生々しいやりとりはとても官能的で、そういう経験が極めて少ないボクにはかなり刺激が強かった。



(と……とにかく、ここから離れよう)



赤い顔で朝から股間をおさえるボクは、一歩間違えれば変質者だ。




湿気を多く含む空気が、身体中にまとわりつく。



火照った体のせいで、眼鏡も雲って視界がぼやけた。


最中の二人を見てしまったらとてもじゃないが平静を保てそうにないが、幸いなことにまだボクは中にいる人たちを見ていない。



(早くここから離れよう!!……始業のチャイムが鳴るまでは図書室にいればいい!!)



逃げ出そうとしたボクの後ろで、教室のドアが開いた。


ボクは反射的に振り返った自分の愚かさに、激しく後悔の念を抱いた。



それはもう激しく。



「あ……あの、えっと……」


隣のクラスの橋本くんだった。一年の時に同じクラスだったので覚えている。



ボクはてっきり、相手は女の子だとばかり思っていた。



「趣味わる。ずっと聞いてたの!?」



棘のある言い方だった。



(当然だよな。まあ、聞いてたかと言われれば答えはイエス。でも、ずっとかってなると……ノーだろう。いつ始まったか知らない訳だし)


「ナニ!?どうしたの!?」



相手の子がひょっこりと顔を覗かせた。



「ぎゃっ!!」



叫んで慌てて口を閉じた。


中から出てきたのは意外な人物だった。




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