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第三の国
本来の自分

俺たちがメシを食う広間はいつもザワザワと話し声や食事の音がしていて騒々しい。


名前こそ広間だが、ただ広いだけのボロ部屋だ。


俺とチェダーが広間に着いた頃には、宮殿の周りを囲む庭園で働く女たちも集まっており、もうかなりの人数がメシにありついていた。



全員が床に座り、一日二回支給される量の少ない食事をみんな必死で胃に収める。


「よぉ。ご両人。高砂と一悶着起こしたんだって!?」


俺とチェダーが並んで座っていると、正面に悪友が座り込んで唐突に話しかけてきた。


「誰だよ口を閉じてメシが食えないアホは!?……お前かパル!?」


俺は適当に隣に座っていた小柄な少年に白羽の矢を立てた。


「い……言いがかりはよせって!!うぐっ。バカッ!!放せ。俺じゃねぇよ!!」


「ゴーダ。あれだけ騒いでたら誰にも気付かれない方が変だよ。あと、可哀想だから首絞めるのはやめてあげて。」


チェダーがやんわりとした口調で、けれどもきちんと俺を咎める。


「エメンタールもわざとそんな言い方しないでよ。高砂がするいつもの奴隷イビりだから大丈夫だよ。」


「ふーん。で!?何があってそんなバカ騒ぎまで発展したんだよ!? 何もなきゃいつも通りゴーダの身体に傷が増えて終わりだろ!?」


具も何も入っていない薄い塩味のスープを啜りながらエメンタールの真っ黒な目が俺たちをガッチリと捉える。






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