第三の国
ゴーダの想い7
「くっははは!!ゴーダ!?惨めだなあ!?んっ!?今のお前は最高に惨めだ!!ふっ……ひゃっひゃっひゃっ!!」
高笑いをする高砂をよそに、赤い血液が付着した自分の指を俺はジッと見つめた。
未だチェダーと繋がったままの高砂は時折腰を振っては浅ましく快楽を求め続け、ヤツが動くたびに結合部からはクチュクチュと卑猥な音が漏れた。
その音も、自分が目にしているものも全てが心底不快だった。
「離せ」
チェダーの頭を押さえつけていた監視を睨みつけ、俺は低く呻いた。男はビクリとからだを揺らすと、チェダーからサッと手を退けた。
月夜に照らし出されたチェダーは下劣な欲望の塊に背後から犯され、唇の端からは血を流していた。
「抜けよ」
高砂に向かって俺は呟いた。握りしめた拳がわなわなと震え、抑えが効かない。ただ目の前にいる男に対する憎悪だけが、どんどん膨れ上がっていくのがわかった。
「くっひひひ。はぁ……このケツの締まりは最高だ!!これまでのクズ共とは訳が違う。この美しい顔、それに白い肌……これなら私専用の玩具にしてもよい。可愛いかわいい、チェダー」
「高砂ぉぉぉぉぉ!!!!」
手にした松明と発煙筒を捨てて、恍惚としながら話す高砂に俺は真っ向から殴りかかった。
殺してやりたかった。
高砂も、自分も。
「高砂様に対する無礼は許さん!!」
「丸腰の奴隷に何が出来る!?」
二人の監視が剣を構え、俺の前に立ち塞がった。俺はそのうちの一人から素早く剣を奪うと、迷わず監視の腕を斬り落とした。
ゴトリと鈍い音を立てて床に監視の腕が転がる。
「うわぁぁぁ!!う、う、腕があぁぁ!!俺の腕がぁ!!!」
男の上腕から吹き出た血飛沫を浴びながら、俺は体を抱えてうずくまる監視を静かに見下ろした。
「ゴーダ!!貴様、よくも!!」
正面からは大きく剣を振り上げたもう一人の監視が、仲間の仇を討ちに来た。激情にかられた男は間髪入れずに剣を繰り出し、俺は血に染まる剣でそれを受け流した。
俺は男の一瞬の隙を狙って、監視の胴をひと衝きにした。
「くっ……ぐああぁ!!」
男の体から剣を引き抜くと、再び大量の血飛沫が辺りに飛び散った。俺は全身に返り血を受けながら、ゆらりゆらりと監視たちに近づいて行った。
「やめろ……頼む。こ、殺さないでくれ!!チェダーのことは悪かった。この通りだ!!だから、命だけは……」
そう言った監視の頭部が、次の瞬間には宙に舞っていた。俺が胴を衝いた男だ。
隣を見遣れば、ギョロリとした高砂の眼が、冷たく下監を見下ろしていた。
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