第三の国
ゴーダの想い2
喉が渇いて口の中がカラカラだった。ただ俺は、それでも構わずに探し続けた。時々外を確認しては、発煙筒が夜空に上がっていないかを調べた。
「チェダー!!、チェダー!?」
(くそっ!!何で見つからねえんだ!!)
あけびが用意した捜索班が15名。それに俺とエメンタール、それにパルを加えてかれこれ20分は探している。それでも高砂たちの手がかりは一向に掴めなかった。
(監視棟じゃないのか!?……じゃあ一体、どこだって言うんだ!!)
守ると決めたのに。
あの笑顔を。
ずっと、ずっと守ると決めたのに。
脳裏をよぎったチェダーの顔は、いつもの少しだけ悲しみを帯びたあいつの笑顔だった。
でも、昔はもっと心から笑っていた。
昔は、もっと…………。
「……ダくん」
「「ゴーダくん、遊びましょう」」
「あら、ダーちゃんにエッちゃん。いらっしゃい。でも、どうしたんだい。こんな時間に!?網と虫かごなんか持って……いつもの探検かい!?」
「おばさん、こんばんは。うんとね、今日は三人で一緒にホタル探しに行くんだ」
「あら、そうなのかい!?」
「ああ!!ベール川まで行くんだ。なあなあ、おばちゃん。ゴーダは!?」
「ちょいと呼んでくるよ。……ゴーダ!!ゴーダ!?ダーちゃんとエッちゃんが迎えに来てくれてるよ!?……ったく、あんた何ぐずぐずしてんだい!?」
「痛え!!叩くなババア!!……よしっ!!完璧だ。チェダー、エメンタール行くぞ!!」
「遅えよバカ!!つーか……何だよその荷物!?」
「ふっふっふっ。ひ・み・つ」
「うわっ、ウゼェ!!」
「もう。ケンカはダメだよ二人とも……じゃあ、おばさん。行ってきます」
「気をつけて行くんだよ!?」
「「「はーい」」」
戦前の、まだ10才そこそこの俺たちはいつも三人一緒に遊んでいた。当時のもっぱらの流行りは探検ごっこと昆虫集めで、俺たちは暗くなるまでドロドロになってそこら中を遊んで回った。
ある夏の夜。
俺たちはリコッタで有名なベール川のホタルを見ようと計画を立てたんだ。
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