第三の国
チェダーの嘆き3
「ゔぇ……えぐっ……ひぐっ……あ゙げびざばぁぁ!!!!!!」
それから少し遅れ、門番や宮殿の監視たちが『シニガン』の対処に困っていると、顔中を涙で濡らした少年が駆けてきた。
「な……何だアレは!?集団から一人遅れてきたのか!?」
「ぶあぁぁぁ!!あげびざん゙。みんな〜どごでずが〜!?……うっ、うっ、えっぐ」
「汚いな」
「ああ、汚い。どうせさして使えない新しく監視にでもなった小僧だろ。もうアレは害はなさそうだし、通してもいいんじゃないか!?それよりも今はコレだ!!……どうするよ、これ!?」
「おいっ!!騒ぎを聞き付けた高砂様が向こうであけび様と対面されているらしいぞ!!」
「ナニ!?本当か!?」
「ああ!!何かヤバい雰囲気みたいで……でもちょっと面白そうだろ!?」
「おい、見に行こうぜ!!」
門番や監視たちは一斉に駆け出した。
もじゃもじゃ頭の少年は、鼻水とヨダレも盛大に流して俺たちの方に近づいてきた。
「おい、チェダー。何か来るぞ!?」
「あ、ああ。どうしようね!?」
手綱を引きながら少年は子供のようにあけびの名を呼び咽び泣く。
「ずみばぜん。あげびざんはどごでずがぁぁ!?……ゔぅぅ」
小さくなって涙を拭う少年の袖はベトベトで、俺とゴーダは顔を見合わせてどうしたものかと首をひねった。
「……はぁぁ。ったく、しょうがねえな。おい、ついて来いよ。」
ゴーダがそう言うと、少年の顔がパッと明るくなった。
俺はゴーダとその子の後に続いて歩を進めた。
ありがとうございますと何度も繰り返す少年は、監視服を来ていなければどこにでもいる普通の子供だった。
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