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第三の国
人間扱い4

「この二人に手を出すことは私が許さない」



俺とチェダーは瞠目し、互いに目を合わせて男の次の言葉を待った。



「貴様!!いい加減にしろ!!その横柄な態度を改めろ!!一体、貴様は何者だ!?」



不適な笑みを携え、男は声高に宣言した。



『皆、良く聞いてくれ!!私の名は<あけび>。新たに塔の監視長に任ぜられ、エポワスから参った』



その言葉に一部の監視たちは青ざめ、奴隷たちは今日何度目かの驚きをみせた。


(新しい監視長……!?ロックフォールが言ってたヤツか!!だけど、いくらなんでも……)



「早すぎないか!?」



監視の一人が口を挟む。



監視と意見が重なるのは癪だが、俺も同感だった。



チェダーも静かに見守っている。



「エポワスからリコッタまで、どう馬を飛ばしても五日はかかるはずだ!!監視長がエポワスを発ったと報告を受けてから、まだ三日目だぞ!!」



「そ、そうだ!!どんな早馬に乗ろうとも、あけび塔長の到着は早くとも明日だ!!」


「に……偽者だ!!こいつは偽者だ!!」



別の監視が、あけびを指差しながら遠巻きに非難した。



「好きに思え。だが私が本物だった場合、お前たちはどう詫びる!?下手をすれば、命を差し出すことになるかも知れないぞ。……そうなりたくないのなら、これからははもっと良く考えてから物を口にすることだ」



男の促す注意に、監視たちは何も言えなくなってしまった。


『もう一度言う!!監視たちは食事と水の用意をしろ!!モタモタするな!!』


あけびの号令に、監視たちは次々に持ち場を離れた。


「……それから、お前たちは彼らの手当てをしてやれ」


熱湯により酷い火傷を負った奴隷たちを見て、あけびは若い監視たちに指示を出す。


「ですが……!!」


高砂抜きの宮殿でこの指示に従っていいものか考えあぐねていた若い監視は、それでも上監の命令と腹をくくり甘んじて指示を受けた。



「直に私の部下たちが到着する。中には薬師もいるから、手伝わせよう」



あけびの言葉に若い監視は膝をついて頭を下げると、火傷を負った奴隷たちの元へと駆けていった。





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あきゅろす。
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