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第三の国
人間扱い3

騒然とする宮殿周りを、良く通る低い声が一喝した。


『静かにしろ!!』


その声に、奴隷も監視たちも一瞬にして口をつぐんだ。


男の前には、魂が抜けたかのように焦点の合わない目でしゃがむ奴隷の姿があった。



「なるほどな。脱水症を起こしている。メシも食わせず、水分もろくに与えなければこうなって当たり前だ」



男は苦々しい顔つきで、小声でそう漏らした。



『今から休憩を取る!!監視はメシと水の用意をしろ!!』


男のあり得ない提案に、宮殿の監視たちは猛抗議をした。


「冗談じゃない!!貴様、何様のつもりだ!!」


「ここは高砂様が取り締まりをされている宮殿だぞ!!分をわきまえろ!!」


「斬ってしまえ!!命をもって非礼を詫びろ!!」





「死ねぇぇぇぇ!!」




数人の監視が剣を振りかざすと、背後から男に襲いかかった。




俺とチェダーは同時に飛び出していた。



俺は近くにあった角材で監視の頭に渾身の一撃食らわせる。それから振り向いた別の監視の懐に素早く入り込むと、鳩尾に三発と顎に一発、拳をめり込ませた。



「ゔっ!!があっ!!ぶっ!!ぐあぁ!!」



隣ではチェダーが相手の足を払って体制を崩させた後、男の腹に全体重をかけてエルボーをお見舞いしていた。



「がはっ!!」



残ったひとりは、男に襟首を掴まれながら膝を折り、眼球に剣を突き付けられていた。



「やるなあ!!お前ら!!……昔、悪ガキだったろ!?」


屈託なく笑う男に、俺たちは完全に毒気を抜かれた。


「ゴーダ!!チェダー!!貴様ら!!」



呆気にとられて俺たちの様子を見ていた監視たちが、はっと我に返ったように俺とチェダーに怒りを向けた。





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