第三の国 人間扱い 「何だ……!?」 「一体なにごとだ!?」 「おい!!誰か来るぞ!!」 誰ひとりとして状況が把握出来ない中、鹿毛の馬に乗った男が早速と現れた。 「止まれ〜!!止まれ〜!!」 門番が宮殿まで来て慌てて止めるも、男は強引に敷地内に駆け込んで来た。 くるくるとその場で回り、男は荒い息の馬を落ち着かせると、馬の黒い鬣を優しく撫でた。 「いい子だ。良く頑張ってくれた」 いきなりの破天荒な行動に誰もが目を見張る。 「き、貴様、何者だ!!」 門番や監視たちが、腰に携えた剣を構えて警戒する。 「名を名乗れ!!」 問われた男は黒髪・長身で監視服を着ている。 宮殿の姿をまじまじと眺めると、男は馬上で大きく伸びをした。 「ん〜っ!!やっと着いたな!!思ったよりも随分とかかった」 「貴様、名乗れと言うのがわからんか!?」 怒鳴り付ける門番にも、男は一切気にしない。 それどころか、男の視線は先ほど熱湯を被せられた奴隷たちへと注がれていた。 「彼らはどうした!?」 「貴様には関係のないことだ!!それよりも素性を……」 「どうしたと聞いている」 男の鋭い眼差しと気迫に、門番も監視たちも気圧されていた。 「…………監視長に対し不遜な言動があったので、仕置きをしただけだ」 同じ監視服を来ているから多少は気を許したのか。それでも肝心な部分は包み隠したまま、取りまきの監視のひとりが事の次第を伝えた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |