第三の国
リコッタの奴隷4
「てめぇ…。」
小さく発した俺の声に被せるようにして、誰かに名前を呼ばれた。
「ゴーダ、もう行こう」
いつの間にかすぐそばにいた親友のチェダーが俺に静かに移動を促した。
澄んだ緑色の瞳が俺を捉える。
「何だ貴様は!?」
楽しみを邪魔された高砂は忌々し気に横目でチェダーを見下ろした。
問われたチェダーは背筋を正し、俺を庇うように一歩前に出てこう答える。
「友人です。」
はっきりとした声音と態度は普段の柔和な顔つきからは想像もつかぬほどにとても毅然としたものだった。
周りで作業をしていた男たちの目が不安げに何度もこちらに向けられる。
高砂が手にした松明をチェダー顔に近づける。
夜とはいえど、真夏の暑さに加えて松明の炎を近づけられたチェダーは熱いだろうに、それでも怯むことなく真っ直ぐに立ち続けた。
高砂の視線が次第に舐めるようにチェダーの上を這っていく。
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