第三の国
不機嫌な高砂2
(何だ……!?)
チェダーも不穏に感じたのか、渋い顔つきで俺と目を合わせた。
周りの奴隷たちも高砂の異様な行動の真意を図りかねているのか、動揺しているのが伝わってきた。
ある者は桶をひっくり返し、失態は見せずとも平静を装いながら何度も高砂へと視線を向かわせる奴隷も少なくない。
ただ喉の渇きを訴えた男だけが微動だにせず、期待に胸を膨らませているようだった。
男を見下ろす高砂の表情からは何も伺えない。
いつもの嫌味な引き笑いさえない。
泥のように暗いその瞳に光はなく、背筋がぞっとした。
そうこうしている内に、先ほど姿を消した監視たちが大きな樽をいくつか持って帰ってきた。
高砂はそれを一つ受けとると、端座し続ける男を見下げて告げた。
「管理が不十分ですまなかった。さあ、たんと飲め」
「有り難う御座います!!このご恩は一生忘れません」
高砂が改心したのかと、誘惑に釣られた他の奴隷たちも高砂に水を嘆願した。
「そうかお前たちもか。構わん、飲め!!」
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
神を崇めるように高砂にひれ伏す奴隷たち。
高砂の後ろでは、樽を持つ監視たちが含み笑いをしていた。
(……罠だ!!)
そう思った途端、隣で息を飲む声がした。
「ゴーダ!!あの樽の中身!!」
チェダーの切羽詰まった声に、俺は監視たちが持つ樽を注意深く見た。
「…………なっ!!湯気!?クソッ、中は熱湯か!!!」
この熱気で視界は霞み、判断力が低下していた。
(何だ……!?)
チェダーも不穏に感じたのか、渋い顔つきで俺と目を合わせた。
周りの奴隷たちも高砂の異様な行動の真意を図りかねているのか、動揺しているのが伝わってきた。
ある者は桶をひっくり返し、失態は見せずとも平静を装いながら何度も高砂へと視線を向かわせる奴隷も少なくない。
ただ喉の渇きを訴えた男だけが微動だにせず、期待に胸を膨らませているようだった。
男を見下ろす高砂の表情からは何も伺えない。
いつもの嫌味な引き笑いさえない。
泥のように暗いその瞳に光はなく、背筋がぞっとした。
そうこうしている内に、先ほど姿を消した監視たちが大きな樽をいくつか持って帰ってきた。
高砂はそれを一つ受けとると、端座し続ける男を見下げて告げた。
「管理が不十分ですまなかった。さあ、たんと飲め」
「有り難う御座います!!このご恩は一生忘れません」
高砂が改心したのかと、誘惑に釣られた他の奴隷たちも高砂に水を嘆願した。
「そうかお前たちもか。構わん、飲め!!」
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
神を崇めるように高砂にひれ伏す奴隷たち。
高砂の後ろでは、樽を持つ監視たちが含み笑いをしていた。
(……罠だ!!)
そう思った途端、隣で息を飲む声がした。
「ゴーダ!!あの樽の中身!!」
チェダーの切羽詰まった声に、俺は監視たちが持つ樽を注意深く見た。
俺は自分の注意力の無さを悔いた。
「クソッ、中は熱湯か!!!」
この熱気で視界は霞み、判断力が低下していた。
監視たちが持つ樽からは、白い水蒸気が立っていた。
(何で気がつかなかった!!クソッ!!)
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