第三の国
狩り7
「それに、いいんだよ。これで。俺は自分で決めて男を抱いてるんだから。後悔はしてない。……俺の集めた情報、結構役に立ってるだろ!?」
「結構どころか、大分だ!!お前のは早くて正確だからな……だぁぁ!!だからこそ、また厄介なんだ!!」
「ハハッ。いいじゃねえの!?万事良好って事だろ!?」
「まあ、ヤメロって言ったところで、オメェは止めねぇだろうがな……」
「そう!!さすが!!長い付き合いだけのことはある!!……大丈夫。危ない橋は極力避けるから。だから、そんなに気に病まないでくれよ。これでも楽しんでやってんだぜ!?何人を落とせるか、とかな。それに、男の身体も案外悪くないよ!?柔らかさはないけど締まってるし。何なら、今度相手してやろうか!?ロックフォール!?三分で抜いてやるよ」
「ばか言え!!だれが頼むか!!」
「ぷっ。冗談だって」
あわてふためくロックフォールの顔を見て、可笑しくなった俺は堪えきれずに声を上げて笑ってしまった。
「……ただ、これまで通りアイツラには黙っててくれない!?」
ゴーダとチェダーには言う必要はない。
アイツラは知らなくていいんだこんなこと。
「当たりメェだ。しかしお前、本当の事がバレたらゴーダにボコボコにされるぞ!?」
「ハハッ。黙ってたことに!?それとも、俺が自分の体を提供してることに!?」
「どっちもだ、バカヤロウ!……さぁ、戻るぞ!?これ以上は色々と都合がワリィ!!新しい監視長はしばらく様子見だ。俺から匿名でみんなに伝えておく。いいな!?」
「あぁ、分かった」
夏草の濃い匂いが鼻孔をくすぐる。隣で歩くロックフォールの額には、月に照らされた大粒の汗が光っていた。
俺たちが大部屋に帰った頃にはみんな熟睡に入っていた。
俺が静かに定位置につくと、体は一日の疲れを忠実に覚えていて、すぐに眠りの世界に引き込まれた。
明日になればまた奴隷生活が待っている。
地獄の暮らしだけれど、守り守られ、共に支え合える仲間がいれば俺はいくらでもこの生活に耐えてこられた。
あとはただ、待つだけだ。
この生活を打ち壊す絶好の機会を―――。
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