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第三の国
賭け10*


「手、つけ。膝も立てろ」


背後から俺に手を回しあけびは短い命令をした。初めての体勢に体温が競り上がる。



「足開け」


ぴったり閉じた膝を割られる。腰を引き寄せられて尻を突きだした。



「まさか突っ込む気かよ!?」


青ざめて振り向くとあけびの顔がとんでもない所に向かっていた。



「あっ…ちょっと待て!!」


俺の話なんか一切聞かず、ざらざらした感覚が内壁に滑り込む。入口こそ声を上げたものの、再び陰茎をしごかれると俺は前後の責めに口からも鈴口からも涎を垂らした。



「そんなとこっ…!!あっ、あぁぁ…なぁ、……イヤなんだ。イヤ…ぁ…だって!!汚い…きっ、たない…ぁっ…うごくな……んっ…あけ…び、おい。ぁぁっ…なあ、聞いて、…ぁっ…あけび!!!!無視…すんな…っ…」



初めて味わうのに意識が飛びそうだった。舌を出し入れされる度に涙が溢れ、さっきとは比べ物にならない遅さの扱きに気付けは刺激を求めて自分から腰を揺らしていた。



「どうした!?この棒は!?」


見なくても分かる。絶対にほくそ笑んでやがる。



「っ……んあぁぁ!!」



敏感な先端をわざと弾かれて俺は体をしならせて堪えた。



「どうしたんだって聞いたんだけどな、俺は!?」



爆発寸前まで立ち上がった一物の根元をキツく握られる。胸を千切られそうになり、激しく竿をしごかれ、さっきは四つん這いで穴を舐められた。


「も…っ、無理……はっ、…ぁっ。離し…て!!ふぁっ…こ、降参……する…っから」

「俺はそんな事聞いてねぇよ」


更にきつく絞られる。楽はさせない。背後から悪魔が指でそう語っていた。



「この涎ばっか垂らしてる竿はどうしたのかって聞いたんだ。……何でこんなんになってる!?」



気持ちいいから。気力で渋ったのを抵抗ととったあけびが、俺の口に指を二本突っ込んだ。喉奥まで差し込まれた異物に体が拒絶して嗚咽を漏らす。



「あふっ…うぇっ…あっ…ぐっ、おえっ」



それでも容赦なく口内を蹂躙し、指を抜くとそのまままとめて蕾に一突きした。


「やめ、あぁぁぁ!!ぬ…っ、ふっ…抜い…て…くれっ」


キッパリと否定するように長い指が円を描きながら内壁を掻き回した。ぐるぐる巡って何かを探す。そして、ソレに触れた。そしてあけびは場所を確認するように何度も何度も擦り上げた。



「んぁあああっ!!な…なに…やっ、止め…っああ!!もぅ…無理…っ、出る、イクッ!!」


離せ。


頼むから離してくれ。


出口を塞ぎ止めるあけびの手首を引っ掻きながら懸命に訴えた。




「堪らねぇだろ、ココ。こうやって突起を挟むと…」


「もういい!!あっ…んん、そこ…触る…な…あ、ああっ、あぁん…はっ!!もういい!!もう…ぁっ、敗けでいいからぁっ!!」



寝台の底に泣きながら叫び続けた。あけびはずるりと二本の指を引き抜くと、変わりに自分の寝間着を口に押し入れ、俺の狭い蕾に自分のソレをあてがった。



「敗けでいいからだと!?言葉は正しく使え」



体を真っ二つに引き裂く激痛がして俺はあけびの寝間着に盛大な悲鳴を上げた。


痛みに半分萎えた竿をまた扱かれ、弱点をガツガツ突かれる。



このまま続けたら死んでしまう。




――チクショウ!!!!!






「ぁっ…くっ、おれ…俺の…っ、負け…です」



俺は白旗を掲げた。



「それから!?」



あけびの催促する先を読んで背後の悪魔をこれでもかと睨みつけた。薄笑いを浮かべたあけびは俺を見下げ、手にしたままの俺を二三度擦った。



体内で行き場を失った熱が出口ギリギリでのたうち回る。苦しいっ……出したい!!



目の前が白く点滅する。あけびはもう一度繰り返した。



「それから!?」



俺は繋がれた体勢のまま身を屈め、口にくわえたあけびの寝間着をめちゃくちゃに握った。








「専属奴隷に……して下さい」



俺の言葉を聞き終えるとこれまでの態度からは考えられない優しい口づけを背中に落とし、あけびはそれまで塞いでいた俺の尿道に爪を数本立てた。



「あぁぁぁぁあ!!!!!!!」



解放の安心感に息つく間もなく怒涛の快楽の波に拐われる。


やっと捌け口を見つけた熱は白濁となって勢いよく寝台を汚した。


止まらない射精に身悶え、やっと終極が見えても最後の一滴まであけびに絞り摂られた。



あけびの手が離れると俺はそのままぐったりと倒れ込み、それからはもう目を開けるのも億劫で、屍のように動かなくなった体を意識が無くなるまで持て余した。







五感だけが残る。


情事の匂い、カラカラの喉。


長い指が頬に張りついた俺の髪を耳にかけてくれる。



そして消えていく音の世界で俺は確かにあけびの呟きを聞いた。






「――意固地でも、天の邪鬼でも。俺は、お前がいいよ。お前だから側に置きたいと思ったんだ……エメンタール。無理をさせて悪かった」








「好きだ」




何度も何度も頭を撫でながら、まるで遊び疲れた子供をあやすようにあけびは俺の肩をとんとん叩いた。






甘く響いた最後の言葉を、俺は目覚めるまで覚えていられるだろうか。





覚えていたら。



俺も言おう。



例えまた叶わない恋になるとしても。






あけび。








俺もあんたが好きだ。












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