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第三の国
もう一人の咎人



通気孔から舞い落ちる紅葉やいちょうの葉が薄暗い牢獄に秋を運んでいた。




「23まい……」



右手で黄色い葉を持ち上げ陽に透かして眺める。真っ黒に汚れた俺の指に不似合いな葉は、虫喰いの跡も雨風の傷みもなく、今までで一番キレイな色をしていた。


「チェダー…みたい…だな…」


世話焼きで優しくて、訳わかんねぇ草を集めるのが好きな変わり者。だけど多分、俺が会った人間の中で一番純粋な男だ。


くるくると葉を弄んでいると、隅に積んだ葉のそばに他よりも反り返った1枚を見付けた。


「ふっ……バカ…エメンタール」


あまのじゃくなアイツらしい少しくすんだ色。だけどそれが妙に様になっていた。


「わざと…反り返って…んのか!?お前…らしい…な」

答えはない。空しい問いかけだと頭を下げて額を小突いた。


もう一度二つの葉を陽に透かして、俺はそっと服の物入れにしまった。





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