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第三の国
決意9


源平さんは小さくため息をつくと、俺の暗さを断ち切るような明るい声で言った。


「お説教はこれくらいにしておきますかね。そうだ、全裸の辱しめの文句はあけびさんと椿にお願いしますね」


「何でですか!!源平さんがリコッタじゃおおっぴらに奴隷たちの診察が出来ないって言うから、生意気言う手近なのをとりあえず煽ってみたんでしょうが……俺だってまさか部屋の前で全裸になるとは思わなかったんですよ」


「私も、素っ裸でケンカする子達は初めて見ましたね」

まんまと二人に嵌められた形になった俺とパルは、やりきれない恥ずかしさに頬を赤らめてグッと俯いた。

「ふ……普通に仰ってくれれば協力しましたよ」


半ば脱力しながら必死に訴えると、源平さんは俺たちの肩に手を置いて顔を覗き込んだ。


「ただね、あなた方を試したのも本当なんです。先ほどエメンタール君の容態は話しましたよね!?あの診断は嘘ではありません。私が彼とあなた方を会わせたくないと思ったのも事実です。彼の傷の具合を見たらあなた方は取り乱すかも知れない。そう思ったのも」


医師の顔で説明を続ける源平さんからは、患者であるエメンタールを思いやる心がひしひしと伝わってきた。



「このままでは、俺たちは帰れません」



それでも俺はエメンタールの無事を確かめたいんだ。大事なんだ。いつだって弱い俺の傍らで強く俺を支えてくれた親友だから。







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