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第三の国
決意8


「あの……」


釈然としないまま源平さんに話かけると、三角黒子がクニャッと歪んだ。パルは下着を履きながらジットリと椿を睨んでいた。


「おい、ちっこいの。俺を睨んでても毛はボーボーにはならねぇぞ!?」


容赦なくパルを睨み返す椿は長椅子の背にもたれ掛かっている。腕を組んでさっさと着替えろと視線を飛ばす。物怖じもせずに舌を伸ばし椿を牽制するパルは、怒りにドシドシと足を踏み鳴らしながらズボンを履いた。


「こら、椿。すみませんね。パルくんも、チェダーくんも……嫌な思いをさせました。実は、あけびさんから頼まれていたんですよ」


「俺たちの体を見ること……ですか!?」


「ええ。エメンタール君をここに運んだ時に、あまりの軽さに驚いたみたいで。私自身も、あなたとゴーダ君。それからエメンタール君と順番に診させてもらいましたが、どうにも発育不良が気になりましてね」


おそらくそれは、あけびさんが来るまで俺たちが高砂の監視下に置かれていたことに大きな原因があるだろう。


監視たちが気に入らなければ食事を抜かれることがリコッタでは当たり前だった。時には夜伽の粗相で、またはゴーダのように歯向かって。いつかは、高砂の機嫌が悪いだけで食事を取り上げられることもあった。



「特にあなたは精神的な苦痛でろくに食事をしていないじゃありませんか!?」


思わぬ急所を突かれ、ドキッとした。


自分でもさっき感じていた。痩せたんじゃないかって。

側にいてくれるエメンタールやパル。他の大人たちにも心配かけないようにと、出来るだけ完食を目指していた。だけど、本当はどうにも喉を通らない時があった。そんな時は口に含んで食べた振りをして、噛まずに後で捨てていたんだ。


医師としての問いかけに、鼓動が速まる。大丈夫です。そんなことありません。そう言ってしまえばいいのに、嘘をつく罪悪感が肩にのしかかって俺の反応を鈍らせた。






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あきゅろす。
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