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第三の国
決意7


「バカ言うんじゃない!!いいから服着なさい!!」


拾い上げたパルの服は俺のより一回り小さく、水気を含んでいても軽かった。それを思いっきり突っ返す。

「うっさい!!そういうチェダーが服着ろよ。ガリガリな体してるくせに。寒いだろ、ほら着ろ!!」


負けじと応戦するパルに俺の癇癪が爆発した。


「なっ……ガリガリはどっちだよ!?ヒョロヒョロな小枝みたいな体してるくせに。子供はひっこんでなさい!!」


「何だよ!!チェダーなんか、四つしか年変わらないくせに……毛だって薄いくせに、大人ぶった言い方してんじゃねぇ!!」


「そういうパルはまだ下の毛も生えてないじゃないか!!体だってまだ子供なんだから、黙って見てな!!」


「うっさい!!これはそのうちボーボーになるんだっっ!!」


お互い一歩も譲らない俺たちのくだらないケンカは途中からは完全に子供の言い争いになっていた。


肩で息をしながらパルは下半身を指さす。俺の方は叫んだ喉がヒューヒューと変な音を立てていた。




「ぷっ………くくっ」


「あっははははは!!」


静寂を破ったのは、椿さんと源平さんの笑い声だった。


「ははっ……バカじゃねえの、お前ら!?さて、どうだよ源平さん!?」


「ええ。お陰様で奴隷たちの健康状態が良く分かりました。やはり栄養面の不足が体の成長を妨げているのは明らかですね。一度私から奴隷たちの食に関する見直しをあけびさんに提案してみます」


顎に手を当てながらマジマジと俺とパルを眺める源平さん。


「しかしあけびさんも、運び込んだ奴隷がいやに細かったからって、何も直ぐに飯の改善まで考えなくていいのにな。本当にお人好しっつうか……また高砂派の奴らが黙ってねぇぞ!?塔長は奴隷贔屓だって」


「まぁまぁ。椿の心配も分かりますが、このままでは立派な労働力である彼らがバタバタ倒れるなんてことにもなりかねませんからね。考えても見なさい!?塔も宮殿も完成間近で餓死者が増える――なんて悲惨さを」

「最悪ですね。エポワスの共同墓地になんかもう入りきりませんよ!?只でさえリコッタの奴隷は他地区と比べて死者が多いってのに」


「ええ。だからこそ、増える死者を事前に食い止めることが大切なのです。奴隷たちの普段の食生活がその原因の一つだと言うならば、本人たちに体を見せてもらう他ないでしょう。実例が見れて良かったです」


「おい、さっさと服着ろ。いつまでそんなもんぶら下げてんだよ」


「中へどうぞ」


手招きされるがまま俺とパルは服を持って部屋の中へと入った。状況が掴めずにただ唖然としながら。






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あきゅろす。
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