第三の国
決意6
夏を越えたばかりのリコッタだけど、今日は久しぶりの雨でぐっと気温は下がっている。
一糸まとわぬ体は、人目に晒された分だけカッと熱くなった。
恥ずかしい。
頭がおかしくなりそうだ。
俯いた目線の先には、呼吸をするたびに浮き上がるあばら骨が見えた。
また痩せたかも知れない……。
鎖骨や腰のあたりの骨も以前に比べて突出している。満足に食べられない生活で栄養不足は承知していたけど――。
俺は自分の体の変化に少し不安を感じながら、それでも貧相だなと思うくらいだった。
さすがに冷やかしの言葉の一つくらい飛んでくるかと思ったけど、源平さんも椿さんも鋭い眼差しで俺の体を観察するだけで何も言わない。
よく考えたら、ここにいるのは俺が高砂に襲われた時にいた面子だ。もしかしたら椿さんたちは、あの時のゴタゴタで全裸の俺を見ているのかもしれないな。そうじゃなくても監視は男所帯だ。今さら俺の裸くらいどうとも思わないだろう。
離宮全体を回るのにどのくらい時間がかかるんだろう。外はもう暗いから道を選べば捕まったりしないよな。
俺が踵を返そうとすると、横から衣擦れの音と共に何かが床に投げ捨てられた。
「俺が行くっ!!俺だってエメンタールのためなら何だって出来るぞ!!」
振り返って視線を下ろすと、そこには俺と同じように服を脱ぎ捨て、一糸まとわぬパルの姿があった。
「な、何やってるんだよ、パル!!」
細い肩を掴んでバカな行動をたしなめた。
「それは俺の台詞だ!!こんな事して……エメンタールがこうなったのはチェダーのせいじゃない!!一緒について行かなかった俺のせいだ。俺ひとりで行く!!」
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