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第三の国
新たなる監視長3

「俺は『あけび』だ。新しくこの塔の監視長になった。今日から宜しく頼むな」


明るく自ら名乗り出ると、男は俺に向かって握手を求めた。



側で塔作りに精を出していた他の奴隷たちが、あけびの笑顔に目を奪われて顔を赤くする。



「お前らも宜しくな」


気さくな様子で奴隷たちに歩み寄ると、あけびは奴隷たち一人一人の肩や尻を叩いた。


色白男に至ってはあけびに触られた拍子に、何を想像したか鼻血を出す始末。



哀れな色白男は再び監視役に鞭打たれた。


「あーあぁ。大丈夫かよ!?」

(お前が鼻血を吹かせたんだろうが)


そう思いながらも俺は下手に目をつけられるのを避けるため、余計な事は言わない。そう決めている。



あけびのいきなりの登場とその行動に、奴隷たちは戸惑い監視どもはざわめき立った。



「しかし、リコッタは本当に暑いな。おい誰か!!水をくれ!!」


周りのいぶかしむ目を本人は別段気にした風もなく、近くにいた監視に喉の渇きを訴えた。


塔造りに関わる誰もが呆気にとられる中、あけびと名乗った男はゴクゴクと旨そうに水を飲む。



「ぷはっ、うまい!!……おっ、やっと着いたか。待ちくたびれたぞ」



空の容器を手に、あけびは小さく呟いた。その直後、大きな蹄の音と共に何人かの監視が血相を変えて塔の周りに乗り込んできた。



「あけび監視長ぉぉぉ!!お待ち下さいぃぃぃ」



「さっ…ゼェ、さ…先に…ハァ、い…行かれては……ハァ、こ、困りますよ」



後からついてきた監視たちは息も切れぎれに咎めた。


「遅いぞお前たち。ちゃんと着いてこいと言っただろう」


「わ゛、ゴホッ、エホッ、我々を…こ、殺すおつもりですか…ゲホッ、なにも……あんな道なき道を…進まなくとも…ゲホッ」


どんな無茶をしたのかは知らないが、道中を共にしてきたのであろう他の監視たちが土煙を上げながら、続々と塔の周りに集結した。





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あきゅろす。
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