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第三の国
被害のあと


寝息が聞こえる。人の肌の温もりを頬に感じ、胸の鼓動が耳に心地良い。



誰だよ……人の寝床に入ってきてんのは!?ゴーダか!?それともチェダーか!?


感覚だけが先に目覚めて、壁に打ちつける雨の音を拾った。珍しく降っている。ぼんやりとそんなことを思いながらもう一度眠りにつこうとして、ある違和感に気がついた。



何かこいつ……デカイな。


ぴったりとくっついた相手の体が自分よりも大きい。ゴーダやチェダーなら俺とそう変わらないはずだ。腰に回された腕も長くて力強さを感じる。額に当たったジャリジャリとしたものが無精髭だと分かると、今度こそはっきりと頭が冴えた。



まさかロックフォールか!?

最悪な想像と共に、何でそんな場所で眠ったんだろうと不思議に思った。明らかに親友のどちらでもない体格に俺は飛び起きようとしたけれど、体がちっとも言うことを聞かない。指先さえずっしりと重く、特に背中は焼けるような鋭い痛みが走った。仕方なく目だけを開けてみれば、自分の置かれた状況に声が上がった。



「うわぁぁあ!!」


「んっ…………ふぁあ……起きたか!?」


あくび交じりの声で鼻がつくほどの近さにあけびがいた。鷹のように吊り上がった目が涙に潤んで俺を映す。事態が呑み込めなくて首から上だけを動かして辺りを見回した。隣の低い棚には花が飾られている。壁には絵画や剥製が掛かっていて、俺は部屋の中央にある大きなベッドの上で柔らかい毛布にくるまれて寝ていた。



「……俺の寝室だ」


キョロキョロと部屋を眺める俺をまだ眠そうな目であけびが見つめる。





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あきゅろす。
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