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第三の国
被害のあと5


「監視同士の……!?」


首を捻って伺った源平の顔に動揺の色はなかった。ただ銀盆に置かれた手が、ピタリと動きを止めた。


「ええ。恥ずかしながら、内輪揉めというやつです」


下がった眉が、困ったようにへの字を描いた。背中を被っていた包帯と布が少しずつ剥がされ、引っ張られる。布と一緒にめくられる皮膚の感覚に眉間に力がこもった。袖をまくった手が薬瓶に伸びる。ツンとしたきつい酒のような匂いが目と鼻をつく。


「膿むといけませんから、もう一度消毒しますね。…………染みると思いますけど」


続く言葉は『我慢してください』なのか、それとも『頑張ってください』か。俺は先に待ち受ける痛みを想像して枕にキツく頭を埋めた。


「……っ……ぅ!!」


背中に受けた衝撃で全身が強張った。額を枕に擦りつけて、歯を食いしばる。鞭を受けた一つ一つの傷口にビリビリと電流が走り、焼けるような痛みが襲う。喉の奥からは息が漏れ、体は自分を守るように自然と丸まっていった。


源平が俺をなだめるような、励ますようなことを言っていたが、とてもその声に集中できない。右肩から脇腹にかけて、次いで背骨を跨ぐように消毒液を含んだ布が当てられていく。肌の上を滑る度に大量の汗が出た。



背中はどうなっているんだろうか。


あまりの痛さに涙が滲んだ。流れそうになる滴をギュッと目を閉じてこらえ、爪が手に食い込むほど拳を強く握りしめた。








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