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第三の国
新たなる監視長

side エメンタール



俺が労働を強いられているのは宮殿の隣にそびえ立つ塔だ。


隣とは言うが、バカみたいにデカイ宮殿は別宅とはいえその規模は普通の民家の何倍もあり、俺と正門作りでコキ使われている友人のゴーダとチェダーの距離は少し離れている。



「本当にすみません!!ひゃぁ!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!どうかぶたないで下さい!!お願いします!!」


どこからか男の上擦った何とも情けない声が聞こえてきた。



キョロキョロと辺りを見渡すと、どうやらまたドジを踏んだらしい色白でやせ形の男が涙まじりに鞭打ちの回避を必死に懇願していた。



(無駄なことを)


俺はシラケた目でその様子を見ながら、今日だけで何回この光景を目撃しただろうかと途方にくれる。


(いい加減ウンザリすんな)


今にも倒れそうなあの色白男は最近になって別の地域から来た奴で、落ち着きがなくやたらとビクビクしてる。そしてとにかく失敗が多い。


アホな監視役の餌食にされるのがこういう奴だ。


あぁ。あと、毎度イチイチ監視に突っかってくゴーダのバカもだけど。


まぁ、あれにはそれなりの理由があるからよしとしても……。



(こいつは…救いようがねぇな)


そう思いながら色白男が勢いよく鞭打たれて悲鳴を上げるのを俺は黙って聞いていた。


すると、背後から誰かが小さく鼻で笑うのが判った。




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