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第三の国
高砂派の強行2


人通りの少ない砂利道をすり抜けて俺は監視たちの後に続いた。目の前をいく背丈の異なる二人の監視たちは、何を話すこともなく腰に鞭を提げて肩で風を切っている。そして時折すれ違う上監を見つけてはバカ丁寧な一礼をして、また何事もなかったかのようにスタスタと軽快に歩き出した。



どこに向かっているか分からない居心地の悪さに加え、次第に遠ざかっていく塔が余計に俺の不安を煽る。



「さっさと歩け」



俺が足を止めていると、背の高い細目の監視が少しだけ振り返って俺に鋭い視線を放った。大人しそうな外見には不似合いの……どこか憎しみが籠った目にゾッと背筋が凍りつく。



(なんて目をするんだ……)


一方で、俺を鞭で打った小柄な監視は俺たちの様子を気にすることもなく、ただ忙しなく辺りに気を散らせて人目を警戒しているようだった。



その明らかに不審な行動に眉間のシワが険しくなる。



「どこに行くんですか!?」



その問いに答えはなかった。それどころか細目の監視は口を開くなとばかりに俺を睨み、顔には不快の色を露にした。そして男は俺の胸ぐらを鷲掴みにして強く引き寄せると、低い声でうめいた。





「歩け。今度命令に背けば、さっきのガキは拷問室に送るぞ」



突き飛ばされるように手を離され俺はよろめいた。キツく締め上げられた喉が詰まって何度かむせかえる。そんな俺を監視は最後にもう一度だけ睨むとヒラリと踵を返し、それと同時に男の首元に巻かれた中監章のスカーフが風にヒラリとなびいた。



(中監……)


よく見ると、小柄な監視の腰にも同様に中監を示す緑のスカーフが巻きつけられている。



これは彼らの独断だろうか。それとも誰かからの指示なのか……それにしても、こんな一撃必殺の脅し文句を出さなければいけない程、相手の気が立っているのは何故なんだ。



次々と疑問が頭に湧いて出たが、俺はそれを全て腹の奥底に仕舞い込んだ。



パルを巻き添えにする訳にはいかない。



それから俺はただ沈黙を守って監視たちに続いた。行き先はゴーダと同じところだろうか。そんなことを思いながら。




◇◇◇◇




「入れ」



そう命じられて俺が足を踏み入れた場所は、どう見ても三の宮の地下牢ではなかった。距離でいえば、まだ二の宮にも来ていないだろう。中に入るとさらに二人の監視が俺を待っていた。一人は緑、もう一人は下監が巻く空色のスカーフをしていた。



「そこに座って服を脱げ」



細目の監視は短く淡々と話す。まるで無機質なガラスのようだと感じた。人間味がない男の声はどこか冷たく鋭利だ。


俺は言われるままに上の服を脱いで素肌を四人に晒した。顔や手足とは違い普段は布地に隠れているため他の部位に比べると胸は白い。小柄な監視の目が雄々しく光って、狭い部屋に荒い息が響いた。







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あきゅろす。
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