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とりあえず夕食






もくもくもくもく気まずい沈黙の中お呼ばれしたボンゴレ邸での夕飯は続く。テーブルに並べられているのはイタリア料理なんてものではなく懐かしい和食。箸を使って食べるものばかり。久々の日本食に沈んでいた気持ちが少し軽くなった気がする。ていうか箸ならフォークとかナイフとかの使い方習う必要なかったなぁとか考えながらちらりと矢張り隣を陣取る沢田くんの方を盗み見たら目が合った。ふ、と口元にだけ笑みを象らせて「美味いか?」と聞かれたので

「うん、美味いよ」

と正直な感想を述べる私。好物の料理ばかりなのは何故かというのは敢えて問わない。沢田くんは私の返答に満足したのか食事を再開した。

「─和雲」
「ほい?」

沢田くんとの会話で幾分か和らいだ場の雰囲気に乗じて、右斜め向かいに座っているクローム(さん付けは止めろと食事前に言われた)が口を開く。ご丁寧にも名指しで指名されたので咀嚼を止めて返事をした私。「腕の怪我、平気?」「皮膚が裂けただけだから平気だよ。骨折じゃなくて良かったよね」一言二言多い発言で返す私にクロームは無言でこっくり頷く。うわぁ可愛いと思いながら付け合わせのサラダをつつきながらぼーっと座席を見回す。クロームの隣には牛柄の服を着た男の子が眠いのかこっくりこっくりと舟を漕いでいた。恐らくあれが庭で意識を失っていた私の第一発見者のランボという子なのだろう多分仮定だけどねうんうん。一つの空席に先程まで座っていた笹川了平という一つ上の先輩は早々と夕食を終えて去ってしまった。何でも夜のロードワークだとか。(やらないかと誘われたけど丁重に断っておいた)その空席の更に隣の雲雀さんはデザートに含まれていたパイナップルをざっくざっくとフォークで刺しまくっている。何故積年の恨みを晴らすが如く執拗にぐっしゃぐっしゃ(最早原形を留めてない効果音)している彼に誰もつっこまないのだろうか。気付いてないとかないよね。そういえばパイナップルといえばいつかの夢に出てきた骸という人とクロームを連想するのだけど、もしかして雲雀さんはそのどちらかと何かあったんだろうか。ていうか骸さんは此処には居ないんだろうか別に居なくてもいいけど。まぁそこはあとで沢田くんにでも聞けばいいか。「和雲」今度は沢田くんとは逆の私の隣に位置する武くんの声が降り掛かったので「何?」と応答して見上げたら何時もの笑顔のまんま、

「やっぱ十年以上経っても好き嫌いは変わらないのなー」

と一言。

「………おお」どうやら無意識の内に避けて食べていたらしい。サラダにはお馴染みのその野菜だけが皿の隅に寄せられていた。「コレだけは無理」「食ったらうめーって」「いやコレだけは無理」ぶんぶんと身体まで使って断固拒否の意を示すと苦笑されたけど、名前すら口に出したくないソレは本当に嫌いなのだ。食感とか色々。農家の皆さんごめんなさい。そして沢田くんは鼻で笑うのは止めてください。

「ガキかてめーは…」
「未成年は皆ガキだよ獄寺くん」

こんなところでも右腕魂を発揮している獄寺くんが沢田くんの右隣の席でぼそっと呟いた発言を拾って即座に返す。あ、眉間に皺寄った。「嫌いな奴は気が済むまでぐちゃぐちゃにすればいいんだよ、和雲」「流石にそうまでして食物を粗末にはしたくないです」ていうかこの人今食物を人と定義したよね。「嫌いな奴」って言ったよね。やっぱりナッポー(頭の誰か)に何か恨みでもあるんだろうか。どうでもいいけどまだざっしゅざっしゅやってるよあの人。

「………でも人様の家で残すのはいけないよね」
「じゃあ食べるのか?」

沢田くんのストレートな言い回しに「うぐ」狼狽しながら視線を落とす。皿に乗っているのはコレだけである。「く、食いたくねぇ……」たまたま目を逸らした方向で武くんと目が合ったけど「ん?」と首を傾げられるだけ。食うのか食わないのかハッキリしろよ的な視線をひしひしと感じつつ私はひっそりと溜息を吐く。腹を括るしかないぞ私。頑張れ私。コレを何か別の食物だと思えばいいんだから。チ○ルチョコとかさ

「いざ参る……!」

大嫌いな野菜が私の口に。

「……そんな身構えることでもないだろ…」

呆れた口調の沢田くんに返事はせずに箸でソレを摘んで口に運ぶ。あーんとあと数ミリでインするところ、その瞬間


「和雲様!」
「んあ?」


帰ったはずの従者登場。


Avvelenamento di
colore primario

(タイミング良く食べないで済んだ)




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