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弾丸、ブルー






前回のあらすじ!
ひょんなことからS田くん宅へとある日招待された私音留和雲は週末頼もしき(嘘)従者Nさんと共に馬(車の間違い)で彼の巣窟へと向かった。門を抜け車(馬ではない)を降り目の前に広がる庭園を進んでいた私達。暫らくして彼が居るという屋敷を目指していた私達の目に飛び込んできたのは世にも珍しい男同士のSMプレイ!(※注意、只の脚色です)トンファーと呼ばれる武器を手に男を踏み付けて弄んでいた黒衣に身を包むH.Kさんを手懐けパーティーに加えた勇者和雲は更に奥へと突き進む。やがて目的地に着いた私達はそれぞれに分かれやっとのことで私はS田くんと対面。笑顔の彼にある一室へと導かれ衝撃の事実を知らされて項垂れる私に降り掛かる声。そして突き付けられていた銃。この瞬間に私はまだ理解していなかった。
今正に己に降り掛かんとする惨劇を──………。
…………途中RPG混ざったけどいっか!
以上、関係のない前置き。




「余所見してる余裕があるなら反撃でもしてみろ」
「はい無理ー!」


降り掛かるもの。弾丸。ていうか刃物とか色々。突き付けられた銃をリボーンと名乗る御人から突然手渡され何だと問う前にこういう展開になっていた。アンビリーバボーとか叫ぶ前に本能で駆け出した足は未だ止まらない。ついでに言えば飛び交う凶器もやむことがないです。「死ぬ!」マジで逝く……!冷や汗だらだら息も絶え絶えそれでも足を動かすのは続ける。じゃないと死ぬ。流れ弾が屋敷内の壁やドアなんかを傷付けるたびに穴やら傷が出来てるけどいいのかこれ、修理代とか。

「何でこんなことするんですか!」
「お前の従者に頼まれたからだぞ」
またアイツかよ!どうやら弐織さんに何かを言われたらしいリボーンさんは喋りながらも銃の乱射を止めてはくれない。振り返ったら走る弾丸が髪を掠めた。

(マジ怖ぇぇ……!)

ついこの間まで一般人だった筈なのにどうして私はこんな目に遭っているのかな。無我夢中で階段をかけ降りて幾分か前に通った道を逆走する。通り道の両脇には綺麗な庭園。緑の茂るその中に飛び込んで走る走る走る。
呼吸が続かなくなって止まった時には追ってくる音も凶器の類も向かっては来なかった。

「……………」

どくどくと脈打つ心臓を押さえ付けながらしゃがみ込んで息を吐く。握りしめたままの銃は重さが増しているような、気がした。
ていうか、何だ。

「何だ、これ」

身体を動かして逃げる必要のない安全地帯に着いてから、先程までの状況を整理するなら、出るのは疑問ばかり。柄にもなく冗談とか何かで済まそうとかそういった気にはなれなかった。「……あー、」あ。息切れた所為で途切れる声。腕が痛むなと思えばだらだらと血が出ていた。灼けるような痛みを今更ながら感じる。傷を見たら痛みが増すってよく言うよね。
応急手当てのやり方なんて覚えちゃいないし動く元気もないから敢えてそのまま、空を見上げて必死に泣くのを堪えた。痛みのせいだけで浮かぶ涙、ではないんだろうな。



「………もう嫌だ」


少しだけ弱気になる、午後三時。


Avvelenamento di
colore primario

(泣きたい非日常)




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