>宝物庫 ■MAD Driving(道野辺ルイ様より頂き物v) R15(くらいでいいだろうか) とりあえず、そういうシーンがございますので、自己責任の上で閲覧くださいませ。 全世界マフィアサミット。 こんな馬鹿げた会合が本当にあるなんて事、綱吉はドン・ボンゴレになるまで知らなかった。 その上、寄りにも寄って綱吉がドンになって初めてのサミットがイタリア開催で、ボンゴレファミリーが議長であるなんて全くの不運としか言いようがない。 とにかくそんな降って湧いた強制イベントのために綱吉はここ数ヶ月、本気で寝食の暇もないほど忙殺されていた。 「誰だよ。こんなふざけた会議!冗談じゃない!!」 山積みの書類と警備シミュレーションの繰り返し、会議に至るまでの個別会合の手配と相手ファミリーの調査。 それが済んだら警備計画を見直して、と。ずっとその繰り返しなのだ。 ファミリー間の無用ないざこざを話し合いで解決し、関係を改善することによって決定的な抗争を避け世界を平和的に裏から牛耳るための会議だと言われれば一部聞き捨てならない部分もあれど積極的に反対することも出来ない。 しかし、ファミリー間での抗争を回避し世界を平和にする前に、綱吉が暴れ出して全てのマフィアを根絶やしにしかねないほど彼のストレスは極限に達していた。 ギリギリと歯ぎしりをしながら周囲を威嚇しつつ、脳内では物騒な計画が次々に浮かんでは消えていく。 それらのいくつかが具体的な形になろうとした頃、綱吉の胸ポケットで鈍色の固まりがブルブルと震えだした。 別に無機物が綱吉に怯えて震えている訳ではない、着信だ。 「はい。」 液晶に浮かんだ文字に素早く目を走らせ電話を繋ぐ。 疲れ切っていた綱吉の声が若干トーンを上げたのは通話の相手が自分よりおそらく貧乏くじを引いているだろう男だったからだ。 人間とは現金なもので自分より不幸な人を見ると胸が空く。 日頃厄介ごとを集中して受け持っている綱吉にとって大概の場合がこの男、スクアーロがそれに該当した。 『よぉお。』 受話器越しにクタクタにくたびれた声がする。 「どうかした?スクアーロ。」 『頼まれてた。例の改造車…手配できたぜぃ。』 「ああ、早いね。流石だよ。スクアーロ。」 『褒めたってもう何も出せやしねぇぞお。』 「ははは、やだな。そんなんじゃないよ。」 実はスクアーロにはサミットの会場まで賓客を送迎するための特別車の手配を頼んでいた。 車は贅の限りを知り尽くした賓客達を満足させるほどの超高級車。 そして空爆や地雷等、軽いテロ行為に負けないぐらい頑強なものである必要がある。 準備会で某女教官が呆れかえったように「戦車でも用意しろ。戦車。」等と匙を投げたぐらい綿密な会議の結果。 荒事に慣れていて、尚かつ趣味で車を弄っているスクアーロに丸投げされた。 本当はボンゴレファミリーお抱えの整備士や闇ディーラーなんかも当然存在しているのだが、その時綱吉に機嫌が最高潮に悪かったためたまたまその場にいたスクアーロが貧乏くじを引かされたのだ。 結局会議なんかするまでもなく某高級車メーカーのリムジンタイプを特別仕様に改造する以外の選択肢はなかったのだが。(それこそ彼女の行った通り戦車を用意出来れば話は別だが。) 『…聞いてるかぁ?綱吉ぃい。』 「あ、御免。何だって?」 『ったく、だから息抜きがてら最終チェックに来いって言ってんだぁ。』 「あ、そっか。うん。そうだなぁ。今からなら行けるけど…。」 時計を確認すれば時刻は深夜1時。 『……こっちは大丈夫だぁ。来るかぁ?』 微妙な沈黙の後、スクアーロが尋ねる。 彼は彼の上司と違って強要はしないがそれでも普段よりはよほど選択の自由を綱吉に与えるような口ぶりだ。 事が仕事なのでもっと強引にくるのがいつもなのに。 ちょっとばかし不思議に思いながら綱吉は了承の返事を返した。 さっさと片付けてさっさと寝よう。 そう思いつつ綱吉はヴァリアー本部に向かって歩き出した。 +++ 「なんでコイツがここにいるのさ。」 綱吉の第一声はコレに尽きる。 対象の車はヴァリアーの表玄関前の優雅なロータリー部分に停車していた。 ツヤツヤとした漆黒の車体は滑らかで思わず頬ずりしたくなるほど美しい。 優雅な曲線もさることながら重厚なごつごつとした部分も車に貫禄を与えていた。 しかしながら、俄セレブである綱吉にとって車なんてある一定レベルは皆全て「うお ー!凄い」の感想しかない。 その上生まれ育った日本という国がやたらめったら狭くせせこましいためこんなにデカくて長い車は不便以外の何物でもないだろうと思う訳だ。 それでもチェックはチェックである。 スクアーロに促されて後部座席の扉を開くと何より先にイレギュラーな物体を発見した。 車体の周囲をぐるりと豪奢なソファーが占め、その尤も奥まった最高に座り心地の良さそうな部分にドスンと腰掛けた男。 「ザンザス。」 「VIPモデルだ。」 「どんなモデル?つか持て成す気が失せるんですけど。」 綱吉はガックリと肩を落として車体に縋り付いた。 ふんぞり返り悠々と足を混んで一目で超高級と知れるシャンパンを傾けて思わず殴りたくなる感じとかが本番の予行演習にいいのかもしれない。 もう放っておこう。コイツに関わると話が長くなるし、第一眠いんだ。オレは。 綱吉はさっさと頭を切り換えると車内を見て回る。 下は毛足の長い上品な絨毯が敷き詰められ、シートは勿論上等の牛革。 外から見た印象よりもかなり広い空間には小さなバーカウンターやクリスタルのテーブル。邪魔にならないようこぢんまりとしたクリスタルの照明。 窓は完璧なプライバシーガラスで防弾防音装備も完璧。 スクアーロから渡された仕様書を捲りながら一つ一つチェックして回る。 途中、なんでこんなことをオレ自らやらなきゃなんないんだろうと我に返った気もしたが、まぁこんな無駄に金の掛かった車を見て回るのも悪くないかと気持ちを切り替えた。 「いいんじゃない?」 特に文句の付け所はない。 どのみちメカニックや部下達のチェックは通ってきているのだから何も問題はないだろう。 「さ、寝…。」 仕様書をスクアーロに渡してさっさと屋敷に帰ろうとした綱吉はアレ?と思う間もなくくるりと身体を回転させられた。 「ちょ。」 そして文句を言うより先に両脇に手を差し入れられ子供にそうするようにに軽々と持ち上げられる。 童顔だろうが何だろうがスーツ姿の男が、あまり可愛い絵面じゃない…筈だ。 「な、何なんだよ。」 何とか首をねじ曲げてスクアーロを見ようとするが何故か頑なに目を合わせようとしない。 「ちょ、」 「走行試験だぁあ。ちったぁ気晴らしに付き合いやがれぇえ。」 夜のドライブなんて時間でもないし、何より眠いんだけどと文句を言うより先に綱吉はちょんと車に乗せられ、その後ろでドアが閉まった。 フカフカの絨毯は気持ちいい。 何か土足で踏みつけるのが悪いなぁと貧乏性の綱吉が思ってると運転席にスクアーロが乗り込んだ。 「ちょっとだけだからね。」 予めそう断ってシートの適当な部分に腰を下ろす。 バックミラー越し、ほんの一瞬、スクアーロと目があった気がしたけれど彼はもう何も言わなかった。 リムジンタイプの基本理念はゲスト至上である。 他のどんな車とも違いとにかく運転手のことなんて考えられていないんだという。 何もかもが後部座席に座るお客様第一に考えられていて、よくもまぁこんなくだらないところまでと言うほど至れり尽くせりの装備。 そんな信条に沿うように全く震動もなく車は発車するとエンジン音も何も聞こえないまま滑らかに走り出した。 「飲むか?」 今まで優雅に寛いでいたザンザスが尋ねる。 ほっそりとしたシャンパングラスに踊る琥珀色の液体と気泡。 「そうだな。ちょっとだけ。」 そう言うとザンザスはうっそりと身体を起こしてグラスを取り綱吉に渡すと粗野な男の印象からは想像できないほど丁寧にシャンパンを注いでくれた。 こんな光景自体、男を知るものからしたら驚愕ものだが生憎綱吉はこういったシチュエーションに慣れていた。 回数はそう多くないが二人で飲むこともある。そんな時彼はいつも丁寧に酒を注いで寄越したからだ。 「美味い。」 口に含んだ瞬間、目が覚めるぐらい芳醇な香りが広がって綱吉は思わず声を上げた。 「当然だ。」 オレが選んだんだからな。と何処か得意げにザンザスが口の端を持ち上げる。 おまえが作った訳でもない癖にと思いつつ、流石だ流石だと投げやりに返しグラスを空にした。口当たりが良くて何杯でも行けそうだ。 明日も朝早くからスケジュールはみっちり詰まっているし、やることも山ほどあるけれどかなりもうどうでも良くなっていた。 美味い酒と座り心地の良いシート。 ネクタイを緩めて背中を深くシートに預け、深く溜め息をつく。 思った以上に疲れているようだ。そう感じると途端に眠くなってきた。 「ふぁあ。」 欠伸して身体の力を抜く。 「ごめ、ちょっと寝…。」 それだけ言ったときにはもう意識は曖昧になっていた。 「…ン。」 髪を梳くような感触。 大きな手に撫でられている子猫のような心地よさで思わず身体をその手に押しつける。 身体は傾くことなく何かに触れて、それがまた暖かい。 なんだか楽しくなって小さく笑うと頭のあたりで同じように誰かが笑った感じがした。 気持ちいい。 うっとりと重い目蓋を開けると見慣れた羽根飾りが見えた。 投げ出された自分の手を数倍大きな手が受け止め、指を絡めたり節を撫でたり爪を擦ったり遊んでいる。 ザンザスの手はごつごつとしていて節も硬く張り出していて綱吉も夢見心地でそんな指を撫でた。爪が当たるとちょっとだけ責めるように力を込めて握られる。 どうやら綱吉はザンザスの肩に頭を預け、その胸板に身体を凭れかけているようだ。 触れ合っているところが凄く暖かくて安心する。 預けていた頭をすり寄せるとザンザスは笑って空いているもう片方の手で髪を柔らかく撫でた。 幾度か撫でてその手がそっと首に降りる。 項を指で辿り耳朶を摘んで悪戯に耳に指を突っ込んでこようとしたり、くすぐったくて首をすくめると顎を指で引っかけて持ち上げた。 初めて会ったときよりも数倍凄みを増した目が妙に柔らかく綱吉を映している。 「ザン…。」 思わず口づけを強請るように目を伏せた。 あり得ないほどに優しく触れるだけで離れた唇。 当然のように身体を抱き寄せるザンザスの腕に綱吉は夢見心地のまま身体を預けかけてふと思う。 (あれ?今オレ、何してんの?) 薄ボンヤリとした思考を覚まし記憶を探る。 そして唐突に思い当たった。 「今、何時!?」 飛び跳ねた綱吉の耳に態とらしいほどの舌打ちが届く。 そして肩にもの凄い力が加わったかと思うと景色がぐるりと一回転してザンザスと天井が目の前に。 「ちょ!離しッ!」 「もうちょっと寝てりゃあいいのに。」 藻掻く綱吉を押さえつけながらザンザスは失礼極まりないことを言う。 しかも綱吉が寝ぼけている間に相当悪戯されたらしい。ジャケットは向かいのシートに投げ捨てられネクタイは解かれ、シャツのボタンは全て外されている。 自分の格好に気づいた綱吉は真っ赤になってそれこそ死ぬ気で暴れ出したが、如何せん力でこの男に敵うはずがない。 あっさり組み敷かれ見下ろされた。 「人が疲れて寝てんのに何やってんだよ!この変態!悪魔!」 「良く言うぜ、うっとりすり寄って来やがった癖に。」 「ななな、何言ってんだよッ!!」 「可愛かったぜ?離れると嫌がって絡んで来やがって。」 「ンなわけねぇ!!っての!!」 近付いてくるザンザスの顔を精一杯押しのけながら綱吉が喚く。 心当たりはないこともないがここは全面的に否定しておかないとこの男、つけあがる。 しかし、この時点で綱吉にはわかっていたのだ。 もう手遅れだって事を。 「んっ、ちょ!」 押しのけようと突っ張っていた手首を掴まれるとそのままシートの上に縫い止められる。 ザンザスが含み笑いを漏らしながら首筋に顔を埋めるのを綱吉は思いきり睨み付けたが抵抗はそこまで。 力で押しきられれば綱吉に勝ち目はない。 何より綱吉の身体はこの男を知りすぎているのだから。 「も、ヤだ…。」 荒い息の下で綱吉は一生懸命訴えていた。 ザンザスは僅かにシャツの襟元を寛げただけで綱吉だけが全裸に剥かれて喘がされるというのは屈辱で恥ずかしい。 「いいんだろうが。」 なのにザンザスは確信犯的に問いかけると口角を上げて綱吉を見上げた。 強引に太股を持ち上げて肩に引っかけると柔らかい内腿に歯を立てぬっとりと舐め上げる。 「アッ、や…。」 柔いばかりの刺激に耐えかねてむずがるように足を滑らすとザンザスの含み笑いが高くなった。 腹が立って伸ばした手が掴んだものを引っ張る。 「痛ぇだろうが。手癖の悪いガキが…。」 「ガキって言うな。オレがガキならおまえなんか幼児趣味の変態だ!」 「変態ねぇ、じゃあ、その変態にこんなことされて喘いでるおまえはどうなんだ?」 「ぅうンっ!」 既に痛いほどに屹立していたものを掴み取られて綱吉は身体を捩った。 気持ちいい。誤魔化しようもない。 「ハ、ァ…も、ザンザ、ス。」 自分でもわかる。 真っ赤になった顔で潤んだ目で熱っぽくザンザスを見つめているだろうと。 一心に見つめて羽根飾りを掴んでいた手を彷徨わせる。 精悍な顎のライン、意外に柔らかい髪、鼻と厚めの唇。それらを一つ一つ指でなぞっていく。 まるで綱吉の熱に煽られたようにザンザスも凶暴な熱を高ぶらせていくようだった。 乾いた唇を舐め伸び上がると荒い呼吸を繰り返す綱吉の唇に噛みつくようなキスをして舌をねじ込ませると呼吸を奪い取るように貪る。 「ンッ、ぅう…っ、は。」 綱吉は抵抗も忘れザンザスの頭を抱えるようにして抱き締めて負けじと舌を絡めて吐息を奪い合った。 何度も角度を変えて繰り返される口づけに酸素を欲して大きく口を開けるがザンザスはそれを許さない。 逃れようと暴れる綱吉を追いかけ捕らえると口づけは更に激しくなる。 その上、先走りに濡れる屹立を嫌らしく擦り立てられ何も考えることが出来ない。 繰り返される愛撫と濡れた音に綱吉の意識が朦朧と消えかけたとき、ザンザスの肩越しに掠めたもので身体が硬直した。 「や、…ザンザス。やめっ!」 どこもかしこもクタクタになっていた綱吉にザンザスが眉を吊り上げる。 「何だ?」 端的に問い返すザンザスの唇と綱吉の唇の間を唾液が伸びる。 嫌らしく濡れた唇に鼓動を激しく震わせながら指を差す、ザンザスの後ろ、そう。運転席だ。 普段客を乗せる場合は電動制御のパーテーションで仕切られているものだが今は開放されたままなのだ。 ザンザスは肩越しに運転席を見やって綱吉が何に戸惑っているかわかっているはずなのにニヤリと笑って掴んだままになっている綱吉の性器を撫で回す。 「ちょっ、やっ!」 慌ててザンザスの腕を掴んでその動きを止めようとするが快楽に酔った綱吉の力では全く相手にならない。 「やめろって!ザンザスッ!!」 「気にすんな。カス鮫だって気にしやしねぇ。」 「気にしろよっ!してください!ホントに!!」 「あぁ、してやる。」 わかっている癖にヌチヌチと愛撫を再開したザンザスに綱吉は唇を噛んだ。 ギュッと目を閉じて迫り来る波に耐えようと掴んだままの男の腕に爪を立て体中を緊張させる。 体中に嵐が吹き荒れるのにスクアーロの存在が気になって仕方がない。しかしザンザスの手に嬲られるソレは既に限界を迎えていた。 「も、も…、ぁ…。」 「イけ。」 「ッッ!!!」 身体を反らせ声もなく達した綱吉はその衝撃にぐったりと身体を横たえたまま。 その綱吉の腕を掴んで引き起こしたザンザスはそのまま向かい合わせに抱きかかえ座らせる。 向かい合わせになった綱吉はザンザスにしがみついた状態で息をついた。すると見たくなくてもバックミラーに映ったスクアーロが視界に入る。 「…ッ!」 足を撫で上げたザンザスの指が腰に回る感触に綱吉は身体を震わせた。 目の前にスクアーロがいる。 なのにザンザスは止める気配もなく逃がしてもくれないだろう。 自力で逃げるには力を失いすぎている。 「も、止め…何でもするから、おねが、ザン…。」 「殊勝なこと言うじゃねぇか。綱吉ぃ。」 「おねがぃ…も…、ヒィッ!!」 こんなに何度も頼んでいるというのにザンザスの指は遠慮することなく後腔に辿り着くと力任せに割り開いた。 喉の奥で引きつった声が漏れるが悔しいことにそれほどの痛みはない。ただ頭がおかしくなりそうな程の快楽を感じるだけだ。 両手で口を塞ぎ必死で息を呑むがザンザスの指が蠢くたび押えきれないうめき声が漏れてしまう。 鏡の中のスクアーロは相変わらず前を向いてこちらに視線を送っては来ないがそれでも気になるものは気になるのだ。 力一杯見開いた目からは涙が零れ、それでも背筋を突き抜ける感覚に抗う術はない。 「イくぜ?綱吉。」 残酷な宣告の後、ザンザスの熱い杭が穿たれたとき綱吉の記憶は真っ白に灼けそのまま暗転した。 「うお゛お゛ぃ…やり過ぎなんじゃねぇかぁ?」 指定されたコースをぐるりと回って屋敷の前に着いたスクアーロはドアを開けてあまりの状況にガックリと肩を落とした。 シートに身体を預け満足そうに酒を飲んでいる上司と、その膝の上でしどけなく裸体を横たわらせ男のジャケットを被って失神しているその上の上司。 予想はしていたが手加減することなくやれるだけやったらしい。 「大丈夫だ。悦んでた。」 ザンザスは悪びれなくそう言うとグラスに残った酒を飲み干し小柄な身体を丁寧にジャケットで覆って抱きかかえた。 外に出るときに頭を打たないかと心配して見ていたスクアーロの後頭部を殴りつけて男は悠々と屋敷に戻っていく。当然綱吉はお持ち帰りだ。 車体に凭れて盛大な溜め息をついたスクアーロはザンザスの腕からはみ出た爆発頭を見ながら殴られた後頭部を撫でる。 これは言うまでもなく。 (オレの綱吉を見るなってことだろぉお。独占欲むき出しじゃねぇかぁ…。) わかりやすいザンザスの態度。 そもそもあの男がスクアーロの前で綱吉を抱くなんてある訳がない。 普段ちょっと見てるだけでもこうして遠慮無く殴りつけられるというのに。 実はこの車、通常のパーテーションの変わりにマジックミラーが入っている。 ゲストルームからは丸見えだが運転席からは何も見えない状態なのだ。 勿論こんなものは悪戯心というよりも下心満載の下らない仕掛けで、運転中スクアーロは後ろの鏡が気になって仕方がなかったし、バックミラーは合わせ鏡状態で気持ち悪かった。 背後で何が行われているか嫌と言うほどわかっていたのでただ前だけを睨み付けるようにして指示通りの場所を指示通りの速度で走っただけだ。 途中、綱吉が眠り込むというアクシデントがあったため路肩に車を寄せて時間稼ぎもした。 こんな長い車で怪しい路駐車もあったものではないが、スクアーロとしても日頃の過酷な労働の仕返しがしたかったのだ。 だからザンザスがとんでもない計画を発案したとき嫌がりつつも普段よりも素直に引き受けた。 何だかんだと厄介な仕事を回してくる綱吉がそこら辺を改めてくれないかなぁと期待して。 (だが…これは逆にマズったかもしれねぇえ。) かもしれないではなく完全に不味いことになっているのだが。 「しょうがねぇえ…。」 スクアーロは当分イタリアに帰れないだろう次の任務を思って部屋に帰って荷造りをする決意をしたのである。酷寒か酷暑か…。 にっこり笑った綱吉ほど怖いものはない。 流石、ザンザスを打ち負かした男だと後に稀代のドン・ボンゴレと呼ばれるだろう青年を思うのだった。 星が、綺麗だぁ…。 ######## 我が家の一周年サプライズに、ルイさんから頂きました…! どうしよう、幸せ過ぎて軽く死ねそうだ(笑) やっぱしルイさんちのザンザスはロクデナシでカッコイイ…v<めっさ失礼 スクも不幸で幸せだ…v<矛盾 こんなに美味しいもん頂いて、私はどうやってお返ししたらいいんだろう。 やっぱし身体ですか?<いや、迷惑だから ルイさん、ホントにありがとうvvv [*前へ][次へ#] |