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小説
可愛い我がしもべ@(Dio康)

静かなる我が邸宅。
薄暗い部屋で最近気に入りの本を読みながら葡萄を食べていると、隣からガシャーンという何かが割れる音とヴァニラアイスの怒鳴り声が聞こえてきた。

「何度いったら分かるんだ!Dio様はこのヴァニラアイスの手からお食事を召し上がられるのだといつも言っているだろうが!フォークとナイフなんぞいらん!」
「はっ、はい!…でも、Dio様が実際にヴァニラアイス様の手から食べてるの…僕…見た、こと…な…ぃ」
「……何か言ったか、コーイチ?」
「いっ、いえ何も…!ごめんなさいっ!」

ふっ、また新入りを虐めているのかヴァニラアイスめ。可哀相になぁ、今度の新入りはほんの小さな東洋人だと言うではないか。どれ、少し様子を見に行ってみるか。読みかけの本を寝台に伏せ、私は隣の部屋に向かった。

「あ!Dio様!どうされたのですか?もうオネンネは終わりですか?もしかしてコイツがうるさくて眠れませんでしたか!?すみません、コイツまだ新入りで」
「うるさいのはお前だ。」

馬鹿め、と言ってヴァニラアイスの剥き出しの足に蹴りをいれると、奴は「はぅ…っ」と気色の悪い声を出して恍惚とした表情をした。なんだこいつ、きも。

「ヴァニラアイスよ、お前はもう休め。気持ち悪いからな。新入りは私自ら教育をしてやろう。…どれどれ。」

んー、と新入りの前にしゃがみ込み、顎をすくってやる。小さな東洋人は初めて話をするこのDioが恐ろしいのか大きな目に涙をいっぱい溜めて、フルフルと震えていた。瞳を揺らしながらも真っ直ぐと私を見上げてくる様がいじらしい。

「あぁ!いけませんDio様!貴方の手は美しい花を手折るためだけにあるのです!そのように新入りの小汚い顔を触るためのものではありません!」
「えぇい、うっとおしい!貴様はもういいから部屋に帰れ!気持ちの悪い!後で遊んでやるから!」
「ほっ本当でございますか!?このヴァニラアイス!身体を清めて待っております!!」
「あぁ、ではな。」

きゃーきゃーと五月蝿く騒ぎながらヴァニラアイスはやっと消えた。最後にキッと新入りを睨みつけてから。やれやれ、アイツには手が焼けてたまらん。フゥ、と息を吐いて振り返ると新入りはビクンと跳ね上がってカタカタ震えていた。ギュッと自分の服を握り締めてぐちゃぐちゃにしてしまっている。

「ふふ、そんなに緊張することはない。このDioと少し話をしよう、楽しくな。」
「ひゃ、ひゃい!」

ぽんと金髪の頭に手を置き視線を合わせてやると、新入りはピョコンと飛び跳ねて返事をした。

「プッ…ククク、ハハハハ!お前、可愛いな!気に入ったぞ新入り!」
「えっ?わわわ、Dio様…!」

新入りの腋の下に手を入れてひょいと持ち上げ私の膝の上に乗せた。遠慮がちにもじもじ動く小さな尻の体温が太股に伝わって、ムクムクとこの小さき生き物に愛情が沸いて来るのを感じる。

「お前、名は…?コーイチというのか?」
「は、はい。日本から参りました、広瀬康一と申します…。」
「そうか、ではコーイチ。ここでの生活には慣れたか?」
「…まだ、あまり。」

コーイチを胸に抱き抱え、私は隣の自室へと移動した。




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