夜空を越えて君に伝えたい(山羊)
「・・・ふぁー。もうこんな時間か・・・」
よほど研究に集中していたらしい。気づいたら夜になっていた。
「それにしても・・・今日はすごい綺麗な夜空だな」
見上げた空には、数え切れないほどの満天の星。
それは、とてもなつかしいあの空に似てるような気がした。
「あーあ、ここに彼女と錫也たちがいればいいのに・・・」
彼女たちは今頃何してるんだろう、そんな事しか頭に思い浮かばない。
初めてできた友達だった。
みんなで笑いあえる日々がずっと続くと思っていたのに・・・
しかし、その願いはあっけなく崩れてしまった。・・・僕の留学によって。
そんな後悔と自分の申し訳なさを考えていると、ふと彼女達の言葉が思い浮かぶ。
“この空の下にいる限り、もし離れ離れになったとしても・・・私達はこの空を通して繋がっている”
そういえば彼女達がそう言ったのもこんな夜空の日だった。
忘れることは無い。むしろこれからも忘れられない思い出だと思う。
僕はこんな些細なことで悩んでいたのか・・・なんて思ってしまうと、急に今まで寒かった頬が火照り始めた。
「・・・よし、休憩したらもう少し頑張るか」
これ以上熱くならないように、頬を2・3回叩く。
そして散らかっていた書類をかき集め、机の上に少しだけ整理しておくとコーヒーを作りに行くためにキッチンへと向かった。
夜空を越えて君に伝えたい
(もし、いつまでも逢えることが無くても)
(この夜空を越えて、君に届くようにと願う)
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