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シュゼットが城を出てからどれぐらいたったのか。夜の闇も深くなってきた。

深夜に入る頃には、夕方から降っていた雨も止んでしまった。


ニコはランプを持って城の門を出る。
先に休んでいろと言ったシュゼットが、やっぱり心配だったから。

辺りは霧に包まれて何も見えない。
このランプの灯りだけがニコの周りを淡く照らし出している。


ケット・シーはどこかに行ってしまった。
きっと城内にはいるだろうが、ケット・シーには入れて、彼には入れない部屋がまだまだたくさんあった。

鍵束を持っているのは城主であるシュゼットだけで、この城には従僕も給士係もいない。

それをニコは不思議に思ったことはなかった。
ニコは人間があまり好きではなかった。

二人がいるので寂しいと思ったことはなかったし、ただどうしてこんなに大きな古城にシュゼットが住んでいるのかは不思議だった。

シュゼットの生い立ちや家族や兄弟がいるのか、ニコは知らない。
一度だけ家族について尋ねてみたが、三日間も部屋から出てこなかったことがあった。

扉を叩いて呼びかけても返事もなく、彼女の部屋の前でうつらうつらと時を過ごした。

まるで現実から乖離され、夢の世界にいるようだった。


三日後の朝、シュゼットは部屋から出てきて、ニコをぎゅっと抱きしめ「あなただけが、私の家族よ」と囁いた。


このことがあってから、彼女の過去の話はタブーになった。





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あきゅろす。
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