目を閉じる。
右目が痛む時がある。雨が降っている日や曇りの日や晴れの日。飯を食べてるときや風呂に入った後や猫を撫でているとき。ズキズキちくちくと目蓋と眼球を刺激する小さな痛みは、普段あまり気にしないようにしている。この右目は桔平にあげたものだから。ズキズキちくちく。大丈夫、この右目は桔平のもの。この痛みは桔平がくれたもの。そう思うと、痛みは全く苦にならない。
「千歳、大丈夫か?」
「んー、何のこつね、」
「右目。なんかしぱしぱしとるから、」
ズキズキちくちく。ああ、右目が桔平を探してる。目の前の謙也が少し心配そうな顔をするから、直ぐに笑って見せた。大丈夫、全然痛くない。痛みではない。
「平気たい、謙也くんは優しかね」
「お、おん。そうなん?ま、大丈夫ならええねん」
なんかあったら直ぐ言えよ。そういってコートの方へ戻っていく謙也を見送ってから、そっと右目を覆ってみる。ぼやけていた景色が黒く塗りつぶされ、ぼやけない世界だけが鎮座する。ああ、頭が痛い。
目を閉じればきみが浮かぶ。
(だから今日は、眠れない。)
きっと明日も寝不足で頭が痛い、そう思って笑った。
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橘(→)←千っていいな。
タイトル:確かに恋だった
H22.08.31
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