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TOV
僕にはできません


今日はカロルが採取ポイント巡りをすると言い出した
なので必然的に探求心旺盛なメンバー……つまりはエステリーゼ様、リタ、パティ、言い出しっぺのカロルのパーティーで
エステリーゼ様が心配で交代を申し出たのだが…
なぜだろう。気付けば留守番役におさまっていたんだ


「難しい顔してそんなに嬢ちゃんたちが心配?」

「…いえ、そんなことは…」

「だいじょーぶだって。そんな遠くに行くわけでもないし、心配しなくても」

「そうですね」


たしかに言われたとおり、問題はないだろう…とは思う
しかし、ユーリもレイヴンさんもいない。ロアもいない
もし手におえないような魔物が出たら、と心配もしてしまうというものだ


『レイヴンレイヴンレイヴン』


不意に割り込んできたロアの(珍しく)浮かれた声にそちらを見やる
すると、ロアがなにやら書物をぐいぐいとレイヴンさんに押し付けていた


「ちょ、おにーさん何!? 近い、近いっていうか見えない! 何これ、本??」

『レイヴン見て』

「近くて見えないって!!」

『はやく』

「人の話聞いてる!?」

『見て』


ぎゅうぎゅうとレイヴンさんの顔に本を押し付けているロア
それじゃあ見えないよ


「ロア。見て欲しいなら机の上に置いたらいいんじゃないかな」

『…あ』

「ぷはーっ! 窒息するかと思った…」

『レイヴン、見て』

「なーに?」


ぱしぱしと本を叩いてレイヴンさんの注意をひこうとするロア
僕もその指さす箇所に目をやってみたんだけど、何がここまでロアを浮かれさせているのか皆目見当がつかなかった


『これ』

「どれ」

『ここ』


書かれているのはざっと見る限り、結婚式に関しての記述のようだった


「……なんでおにーさんがこの本を嬉々としておっさんに見せてんのかわかんないんだけど…」

『これ、やりたい』


ロアが指差した部分をじっと注視するレイヴンさん
僕のほうからでは字が小さくてよく見えなかったけれど、なんとかトスって書いてあるようだった
結婚式で…トス、だと…ブーケトス?
なんでそれをロアがやりたがるんだろう
内心首をかしげていると、レイヴンさんの拳がロアの顎に全力ヒットした


「寝言は寝て言え」

『うー…』

「つか、普通に考えて大前提が間違ってるでしょーが!! なんで俺様に言うの!!」

『レイヴンにやりたい』

「に、って言うな! 投げたいだけなら付き合ったげるけど、おにーさんがやりたいのは絶対そこじゃないでしょ」

『外すのがやりたい』

「却下」

『二人だけのときに…』

「やりません」

『…実力行使?』

「やったりしたら、本気で怒る」

『うー…』


本を開いたままにらみ合いを続ける二人にやっぱり首をかしげる
確かに男性同士だし結婚式の真似事なんて嫌がるのはわかるけれど…ブーケトスって、なにかすることがあっただろうか?
少しだけ身を乗り出して、ロアの持ってきた本を覗き込んだ

ええと



「……ガーター…トス…」


花嫁のガーターを未婚の男性に投げる、ブーケトスの異性版
花嫁の身に着けるガーターを、新郎が外して投げる
外し方…が


「ロア!!!!」

『うわ?』

「き、君はなんて事をレイヴンさんにお願いしてるんだ!!!」

『ん?』

「君がやって欲しいっていってる、このガ…ガ…っ」

『ガータートス?』

「破廉恥だよ!!」

「もっと言ってやってフレンちゃん!!」

『…じゃあジュディスに頼む』


拗ねたようにぷいっと視線を逸らしてロアが呟く
確かに彼女なら面白そうねとか言ってためさせてくれそうだけれども


「ちょ、それもダメ! ジュディスちゃんならやらせてくれそうだけどダメ!!」

『じゃあさせてくれる?』

「くれない」

『ならジュディスに頼む』

「ダメ」


一向に進展しない二人のやり取り
女性に提案しないあたりがロアの良心だろうか
でも男性同士でこれをやるのも…ちょっと、どうだろうか


「え、ええと…ロア。そんなにやりたいなら…嫌だけど、僕が…」


レイヴンさんがあまりにも嫌そうにしているし、ロアはどうしても試したいらしく引こうとしない
それならば僕も嫌だけど、レイヴンさんに無理をさせるよりはと提案してみた
してみたのだが


『……やだ』

「試したいんじゃなかったのかい?」

『んー、レイヴンにやりたい』

「俺様はやんないっての!!」

『やってくれるまでしつこく口説くからいい』

「…よく、わからないけど…そっか」

「引き下がらないでフレンちゃん!!」

「でも、僕じゃ駄目みたいですし…」

「俺様が折れるより、ロアが折れるほうが早いからもっと食い下がって!」

「いや、僕も別にやってほしいとかじゃありませんから…」

『レイヴン、やって』

「やんないっての! ちょ、どこから出したそのガーター!!」

『とくちゅーひん』

「誰が作ったの!?」

『ジュディス』

「確信犯よねおにーさん!!」

『んーー』

「満面の笑みで近付くなーーー!!!」


……すみませんレイヴンさん
僕にはロアの暴走をとめることは…できないです…


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フレンちゃん視点はダメでした
いろいろ難しい…

ガータートスネタが書きたかっただけです

外し方がえろくていいです
新郎が花嫁のスカートの中に入って、手を使わずに口で花嫁のガーターを外す
ロマンだと思うですよ!!!(握り拳で)




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あきゅろす。
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