[携帯モード] [URL送信]

TOV
おっさんとゲームと

注:現パロです
苦手な方はブラウザバックお願いします
あと、軽くいちゃついてます








何日か前だったと思う
ロアが仕事帰りに電器屋に行くって言った
珍しいなと思いながらもご飯の準備もあるし、俺は先に帰った訳なんだけど


「……こうなるなら…一緒に行って、買うの阻止すれば良かったわ…」


呆れ顔で、ベッドの上に転がる物体を見下ろした
ごろごろだらしなく寝そべって、DSをずっといじっているロア
ご飯だよって声かけても生返事だし
会心の出来のさばみそが冷めるっつの


「おにーさん」

『……んー…』

「ご飯」

『うん、今いいとこだから…ちょっと待って…』


顔もあげずに返ってくる言葉に正直ちょっぴりムカついた
うつ伏せに横たわるロアの背中に跨って肩口越しにDSを奪い取る


『あ』

「おにーさん、ゲームしすぎ!」

『……もうすぐルカが落ちたのに…』

「…ルカ?…おにーさん…パッケージ見せなさい」

『ん?』


差し出されたパッケージを見て脱力する
白地にピンクのかわいらしいデザイン


「まさかのガールズサイド…」

『レイヴン、かえして』

「ああ…うん…って、ダメ!ご飯だっつってんでしょ」


なし崩し的にゲームを返しそうになって、慌ててまたゲーム機をロアから引き離す
巷で噂のラブプラスをやってるかと思いきや、女の子向けのときメモとは…


『ご飯食べたら続き…』

「今日はゲームおしまい!」

『えー』


ロアの残念そうな声が耳に届くが無視をした


『……レイヴン』

「だーめ」


食事中にも何度かこちらの様子をうかがいながら、俺の傍らに置かれたゲーム機に手を伸ばしてくる
その手を何度も叩いてたしなめるが、意外としつこい
なに? 俺様とのご飯より、ゲームの方が気になるっての?


「今日はもうゲームの時間はおしまいって言ったっしょ」

『もうすぐ…エンディング』

「そのルカ?ってのクリアしたら次は?」

『設楽先輩』

「却下」


エンディングで終わるなら少しくらい…とも思ったのに、こっちの気も知らず次の攻略とかおにーさんひどすぎじゃない?


「………ごちそうさま」


せっかくのさばみそで渾身の出来だったのに、ロアがしつこくゲームに手を伸ばしてくるのをその都度阻止したりなんかしてたら食が進むわけもない
半分も食べてないけど箸を置いた


『……残す?』

「んー、そうね。俺様おなかいっぱい」

『さばみそ、なのに?』

「そうねー」


まだロアは食事中だったし不作法なんだけど、かまわず自分の食器を片づけ始めた
正直満腹でもないし、夜中に小腹が空くのは確定なくらいしか食べてないけど、この状況でこれ以上食事がしたいとも思えなかった


『………うー』

「おにーさんは気にせず食べてりゃいーわよ」


つられて箸を置こうとするロアにそう声をかける
困ったような表情を浮かべて(わかりにくいけど)迷ったように皿と俺の顔を交互に見比べる
そんなことしなくても、誰も取り上げたりしないっての


『ん。よし』


なにかを決意したらしい
独りうなずくと、箸を置いた
何をするのかと思えば、俺の傍らにあったDSに手を伸ばしてくる


「あ、こら」


慌てて叩こうとするが、食器を置いてからの動きだったので一歩及ばず、没収したゲーム機はロアの手に収まってしまった


「ちょっとおにーさん、おっさん本気で怒るわよ」

『ん』


食器をテーブルに置いて、再度ロアを睨みつける
そんなにゲームしたいってのかね
そう思いつつ今度はどうやって取り上げようか思案していると、ロアは予想外の行動に出た
フタを閉じてスリープモードにしていただけのDSから、そのままソフトを引っこ抜いたのだ


「ちょ、おにーさん!?」

『……これでいい?』

「壊れないのそれ!」

『たぶん、だいじょぶ?』


あっさりそう答えて、改めて電源を落としている
いや、確かにその会社のハードは丈夫だって聞いたことあるけど今のはちょっと力技すぎない?


「……なんで」

『ん。レイヴンが嫌そうだったから』

「セーブ、してないんじゃないの」

『一年目の夏だったからだいぶやってない、かな』

「………いいの?」

『ん。いい』


ベッドにDSとソフトを放り投げ、ロアがテーブルを回ってこちらに寄ってくる
そのまま隣に腰を下ろすと、ぎゅうとしがみついてきた


「暑い」

『クーラー入れたらいい』

「リモコン、ベッドの方だけど」

『じゃあ少し我慢』

「暑いの嫌いなのはおにーさんじゃなかった?」

『今レイヴンにくっつくほうが大事だから、がまん』


汗ばんだ腕にロアの長い髪がひっついて正直うっとおしいんだけど、不思議と振り払おうという気にはならない
ぐりぐりと額を押しつけてくる様は猫か何かみたい


『……さみしくさせて、ごめん』

「別にさみしいなんて言ってないっしょ」

『じゃあ、ゲームしていい?』

「………だめ」


そっぽを向いたままそう返してやれば、ロアがこちらを見上げた気配を感じた


『レイヴン』

「はいはいなにかしらー」


顔は背けたまま返事
今顔見たら絶対赤くなる自信がある
きっとすごく嬉しそうに笑ってるんだろう
そんな顔、たまにしか見せないから余計に質が悪い


『レイヴン、こっち見て』

「却下」

『………んー、じゃあしょうがない』


しがみついてた腕をゆるめてロアが離れていく
ちょっとさみしいなんて思っちゃったけど、絶対言わない


『ごめん』


頬に暖かい感触
一瞬で離れていったけど、反射的に振り向いてしまう


「んな…ッ」


超が付くほどの至近距離で笑顔を見せるロアと、自然向き合う形になるわけで
想像はしてたけどやっぱり目の当たりにすれば自然頬が熱くなる
その顔は、ホント反則だっての


「な、なんなのおにーさん!?」

『キスした』

「わ…かってるわよそんなんは!なんでか聞いてんの!」

『したかった』


向き合ったままの体勢から、またロアの顔が近づいてくる
おでこと顎を押さえて接近を阻もうとするが、ロアはロアでこちらの後頭部をつかんで離そうとしない


「近いんだけど…ッ!?」

『ん。近付いてるし』

「いやいやいやいや」

『ゲームして寂しくした倍の時間、レイヴンにキスする』

「おにーさん今日3時間くらいやってなかった!?」

『休み時間も合わせて5時間くらい』

「やめてふやける!!」

『………気になるの、そこなんだ…』


俺様の言葉にロアの表情がまた緩む
近付いてきてた顔がゆっくり離れた


「……おにーさん…?」

『今日は一緒に寝よ』

「それ、いつもじゃない…。ベッド一個なんだし」

『だから今日はいつもよりくっついて寝る。ぎゅーってして、朝まで離さない』

「…ば、ばかじゃないの…」


すり寄ってくるロア
振り払うことも出来ず、抱き締めてくる腕にため息をつきつつも頭を預けた

……呆れながらも、嬉しいとか思っちゃう俺様も大概…だねぇ…




//////////////////////////

長!!なんでこんな無駄に長くなったんですか!?
自分で書いといて何ですが

自分はコウくん派です(聞いてない)


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!