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TOV
ぬくもり


―――は〜。この時期のお布団って、ほんと天国だわぁ。外はちょっと肌寒いくらいなのにお布団の中はほかほかぬくぬくでいつまでも寝てられるくらい。あんまり寝坊するとリタっちに怒られちゃうんだけど、怒られてもいいかなぁって思うくらいなんだよねぇ。あったかいなぁ。……って、でもなんかこのお布団重いのよね…。あったかいんだけど寝返りもうてないし…ここんとこ雨でも続いたっけ?宿の人、お布団干せなかったのかね……


「………ほえ?」

『あ、レイヴン起きた?』


まだ寝ぼけた頭でも理解できた
寝返りうてないと思ったら、ロアがしっかり抱きついている


「なんで、おにーさんが俺と一緒に、寝てんの」

『……忘れた?』

「なにが」

『昨日、宿いっぱいで、ベッド2個しかない部屋しかとれなくて…えと、もう1個のベッド、カロルとユーリ』

「………だっけ?」

『……うん』


そう言われれば、そうだったっけ?
なんか、お布団あったかくてあんまり頭回んないけど
俺がうとうとしてるのに気付いたからか、ロアがゆっくり頭を撫でてくれた
あ、それけっこう気持ちいい

『まだ早いから、寝直してだいじょうぶ』

「そう?…そっか…」

『ちゃんと起こす』

「……うん…」


髪を撫でるロアの手が気持ちいい
お布団もあったかいし、ロアの体温もあったかい
極楽ってのはこんなかねぇ
温泉とかでのんびりもいいけど、やっぱりこの寒い時期のお布団の……あったか………








「あら、早いのねユーリ」

「……ああ」

「今日食事当番だったかしら?」

「違うけどよ…」


集めてきた大きな石で簡易の竈を作りながら、歯切れ悪くユーリが答える


「……あの状況でのんきに寝てらんねえっつの…」


ちらりとテントを見やり、ユーリは大きくため息を吐いた


「あら、なにかあったの?」

「いーや。ロアの寝相が悪いって話だ」

「……うふふ」

「悪いなりに一応はわきまえてるみたいだけどな」

「仲良しってステキね」

「……付き合わされる方はいい迷惑だぜ」


もう一度テントに目をやって、またため息を吐いた瞬間


「んにゃーーーーーー!!?」

けたたましい叫び声がテントの中から響いた


「お。起きたみてぇだなおっさん」

「そうみたいね」


テントの中から掛布ごとロアが放り出されるのと、レイヴンの混乱した怒鳴り声が響くのはほぼ同時だった


「いいいい意味わかんない!!つか今日野宿じゃない!宿屋のお布団じゃないじゃない!なんでいんの!?なんで近いの!?いつからいたのーー!!?」



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ちょっとした出来心

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